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※この記事は「ダイヤモンド働き方研究所」から移管されました。

ITRシニア・アナリスト
三浦竜樹(みうら・たつき)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校で学士。広告代理店にて、ITベンダーのマーケティング・プラン策定、広告戦略などに携わる。2001年4月より現職。これまでに、コミュニケーション/コラボレーション基盤の刷新、ワークスタイル変革、仮想デスクトップ導入支援、Web/EC基盤構築・刷新などのコンサルティングに携わる。近年は主に、企業におけるクライアント運用管理(仮想化/DaaS)、Web/EC戦略策定、マーケティングオートメーションやCDP、SAF/CRMなどのマーケティング、SalesTech分野、および主にこれらの業務領域での音声認識などのAIの適用に関するアドバイスやコンサルティングを提供している。
1.「脱はんこ」と電子署名サービス
電子署名サービスベスト11
【①立会人(事業者)型】
サービス名 | 会社名 | 法人月額基本料金(円) | 備考 |
当事者型も使える 電子印鑑GMOサイン | GMOグローバルサインHD | 10000~20000 | 当事者型での契約も可能 |
契約社数が増加中 CLOUDSIGN | 弁護士ドットコム | 10000〜100000 | ー |
大手企業に人気 セコム安心電子契約スマート | セコムトラストシステムズ | 20000~ | ー |
海外でのシェアトップ DocuSign | ドキュサイン | 40~60ドル | シャチハタ電子印鑑を利用可能 |
PDF編集と同じアプリ Adobe Sign | アドビ | 3882(※)~ | ※利用する従業員一人あたり |
文書管理機能を強化 ContractS CLM | ContractS | 30000~100000 | 電子署名機能はDocuSignやCLOUDSIGNを利用可能 |
②当事者型は別サービス かんたん電子契約forクラウド | セイコーソリューションズ | 10000~ | 「かんたん電子契約」は別サービス |
無料で利用できる e-sign | ブロックハイブ | 無料 | ブロックチェーン技術を利用 |
【②当事者型】
サービス名 | 会社名 | 法人月額基本料金(円) | 備考 |
売上高は国内最大級CONTRACTHUB@absonne | 日鉄ソリューションズ | 要問い合わせ | ー |
タイムスタンプ事業の信頼性 かんたん電子契約 | セイコーソリューションズ | 要問い合わせ | 「かんたん電子契約forクラウド」は別サービス |
建設業界に強み CECTRUST-Light | コンストラクション・イーシー・ドットコム | 要問い合わせ | 電子署名にDocuSignも利用可能 |
明日からできる「脱はんこ」
「社内向けはんこ」の意味とは
冒頭に掲げたのは、国内で利用されている代表的な電子署名サービスの一覧です。しかし、企業が「脱はんこ」を進めようとする場合には、電子署名を検討する前にまずすべきことがあります。それは、「はんこを押す」仕事のうち、なくせるものがあればなくしてしまうことです。たとえば、社内の申請書等に押すはんこがあります。かつては、紙にはんこを押して意思表示する意味がありました。しかし今は電子メールやシステム上で意思表示をし、記録に残しておけば十分であることもあるのではないでしょうか。
ITRシニア・アナリストで電子契約のサービス動向にも詳しい三浦竜樹氏によれば、「システム上、社内文書にはんこ欄がある仕様になっている会社では、プリントアウトしてはんこを押すフローが残っている会社があります。法的な有効性を確かめる以前に、印影を押すという、文化的な影響が大きいのでは」
とのことです。
既にはんこを押す意味がないのに、惰性ではんこを押す作業を続けてしまっていることもあるのです。その場合、社内で「はんこはなしにする」と決めるだけで、今日からでも「脱はんこ」ができます。
はんこの画像を貼り付けるだけで大丈夫な書類も
また、社外とやりとりする文書でも、請求書や納品書など、いわゆる角印や認印、シャチハタ印(インク浸透印)などが押される文書には、後日その内容が争いとなる可能性が低いものもあります。法的にもこれらの書面に押印する必要はありませんので、はんこが廃止できるかどうかを検討するべきでしょう。
もし、ビジネスの慣習として印影があるほうが良いのであれば、印影の画像を電子文書に貼り付けたものをPDF文書にして、電子メールで送受信すると言った方法もあります。そうすることで押印や郵送の作業をなくすことができます。印影画像はフリーで作成できるサイトやアプリもありますし、有料でオリジナル印影画像を作成してくれるサービスもあります(「電子印影」「電子印鑑」と呼ばれることもあります)。また、社内の決済業務を電子化するのであれば、『パソコン決裁Cloud』(シャチハタ)などのサービスもあります。
CHECK! まず、なくすことができる「はんこ」がないかどうか、確認しましょう |
紙をなくせる契約書、なくせない契約書
一方で、他社との契約書等、これまで実印を押印してきたような重要な文書については、冒頭の電子署名サービスを利用して「脱はんこ」を進める必要があります。
なお、法律上、電子化がまだ認められておらず、紙を使用する必要のある文書が不動産関係(定期借地・定期建物賃貸借契約や、宅地建物売買等媒介契約、重要事項説明など)を中心に、ごく一部ですが存在します。その場合、そのような文書の電子化には、法改正を待つ必要があります。
CHECK! 不動産関係の書類には、電子化できないものがある |
2.電子署名には大きく2つのタイプがある
①立会人型(事業者型)と②当事者型は何が違うのか
冒頭に掲げた電子署名サービスには、仕組みの違いにより、①立会人型(または「事業者型」)と呼ばれるものと、②当事者型と呼ばれるものの2つのタイプがあります。電子署名サービスを選ぶには、まず両者の仕組みを理解しておく必要があります。
①立会人型(事業者型)は公正証書に似た仕組み
①立会人型の電子署名は、「公正証書」に似た仕組みを採用しています。
サービス提供会社が文書作成の立会人となり、文書作成者の本人確認や文書の真正性を客観的に証明するのです。『CLOUDSIGN』(弁護士ドットコム)や『DocuSign』(DocuSign)などがこのタイプです。
②当事者型は、印鑑証明に似た仕組み
一方で②当事者型は、従来の「印鑑証明」に似た仕組みを電子的に行うものです。
②当事者型では立会人がいないので、当事者が自分で自分を証明する必要があります。そのために文書作成の当事者は、事前に電子認証局に登録し、認証局で取得した電子証明書を文書に電子的に貼り付けることで電子署名をします。『CONTRACTHUB@absonne』(日鉄ソリューションズ)などがこのタイプです。②当事者型と①立会人型の両方から選べる『電子印鑑GMOサイン』(GMOグローバルサインHD)などもあります。
なぜ2つのタイプがあるのか
電子署名の2つのタイプのうち、①立会人型は、国際的には一般的と言える方法で、最近国内でも利用者が増えています。一方で、②当事者型は電子署名法にその仕組み(電子証明書)や技術的な方法(公開鍵暗号)が定義されているため、既に電子署名を利用している大手企業では多く導入されています。
「電子署名」と呼ばれる仕組みに、大きく上記の二種類のタイプがあるのは、従来の「印鑑証明」が、日本特有の制度であることが影響しているものと考えられます。
日本以外の国では、契約書等を作成する際に、公証人が立ち会って契約内容の確認や本人確認を行うのが一般的です。印鑑証明の制度が存在しないからです。そのため、国際的には公証人制度仕組みが似ている①立会人型が標準方式になっているのです。しかし、国内では印鑑証明で本人確認を行うのが一般的なので、印鑑証明の仕組みを電子の世界に置き換えた②当事者型が存在しているのです。
CHECK! ①立会人型は公正証書、②当事者型は印鑑証明に似ている |
国際標準の①立会人型は、手間がかからない
契約相手に手間を取らせない
次に、それぞれのタイプの仕組みと、メリット、ディメリットについてみてみましょう。
【立会人型と当事者型のメリット/デメリット】
①立会人型(事業者型) | ②当事者型 | |
類似する仕組み | 公証人制度 | 印鑑証明制度 |
本人確認 | サービス提供会社が行う | 電子認証局が行う |
本人認証技術 | メールアドレスやID、パスワード、タッチパネルへの署名等、サービスにより様々 | 公開鍵暗号 |
メリット | 導入しやすい国際標準である | 国内法での位置づけが明確利用実績がある |
ディメリット | サービス提供事業者の信用に依存する | 利用に手間がかかる海外企業に理解されにくい |
代表的なサービス | 『CLOUDSIGN』 『電子印鑑GMOサイン』 『DocuSign』 | 『CONTRACTHUB@absonne』 『かんたん電子契約』 『電子印鑑GMOサイン』 |
最近、国内外で普及が進んでいる①立会人型は、第三者が、当事者の本人確認を行い、文書の真正性を客観的に証明する方式です。
この方式のメリットは、まず国際標準の方式であって、日本より電子署名が普及している海外で、既に多く使われていることです。そして利用者にとっては②当事者型より手間がかからないのも大きなメリットです。
電子署名を導入しようとする際に、実務上の最大の壁となるのが、「取引先の了解を得ること」だと言われています。②当事者型では、了解を得る際に、相手方に電子証明書の取得や、利用する電子署名サービスへの加入等まで依頼する必要があります。しかし①立会人型ではその必要がありません。
システムログで本人確認
一方で、①立会人型にはディメリットもあります。電子署名の法的な有効性が立会人となるサービス提供会社の信頼性に左右されるという点です。サービス提供会社が、当事者の本人確認や文書の保持について技術的な面で責任を負うことになるからです。①立会人型では「電子証明書」が使われるとは限らず、メールアドレスやID、パスワード、タッチパネルへの署名等のシステムログを保存し、それらを本人確認に使っています。
そのサービス提供会社は信用できるか?
法的な有効性の面でも、現在は国内では電子署名の有効性について争われた判例が少ないのです。最終的に、立会人型の電子署名サービスを導入する判断は、そのサービス提供会社を信頼するかどうかという判断になります。
「『CLOUDSIGN』利用者が拡大したのは『弁護士が集まっている弁護士ドットコムが提供する仕組みであり、彼らが有効と判断したサービスだから信頼性が高いだろう』と、弁護士ドットコムの解釈を信用したクライアントがたくさんいたからだろう」と見ています。
CHECK! 「取引先の了解」が、電子署名の最大の壁となる |
当事者型は「電子署名法」の安心感
印鑑証明の代りに電子証明書を使う
では、②当事者型のメリット・デメリットはどうでしょうか。
まずメリットは、②当事者型の仕組みや技術的な仕組みが、日本の法律である電子署名法で定義されているという安心感です。
当事者型で使用される「電子証明書」は、はんこでいえば、印鑑証明に相当するものです。印鑑証明では、人や法人の代表者が実印を地方自治体に登録し、その証明として印鑑証明書を取得し、捺印された契約書等に添付します。電子証明書では、人や法人の代表者が電子認証局に登録し、電子証明書を取得したうえで、電子署名された電子文書に添付します。
また「電子証明書」に加えて、その文書が存在した時刻を証明して文書の改ざんを防ぐ「タイムスタンプ」を付与することもできます。つまり、「電子署名」に「電子証明書」(本人確認)と「タイムスタンプ」(改ざん防止)が加われば、紙の文書への「実印」+「印鑑証明」に相当する証拠力があるのです。
立会人型よりかなり手間がかかる
しかし、②当事者型を利用する場合は、電子署名をする全ての当事者が、事前に電子認証局で電子証明書を取得する必要があるなど、実務的にはかなり手間や費用がかかるのが現実です。また、電子契約の相手方が海外企業であれば、日本特有の電子署名の仕組みについて、説明をすることから始めなければなりません。
サービス提供会社に支払う費用も②当事者型は①立会人型より高いうえ、電子証明書やタイムスタンプには有効期限(電子証明書は最長5年 、タイムスタンプは10年)があります。更新をサポートするサービスを受ける場合は、サービス提供会社と継続的に契約しておく必要があります。また、実印の代わりとなる「電子証明書」のデータを保存するPCやICカードについて、社内での管理方法を定めておく必要もあります。
相手が子会社や下請先の場合に向いている
以上のように、②当事者型は法的な根拠がより明確な方法ではありますが、実務的には煩雑です。そのため、契約書などの場合は、子会社や関連会社、下請先など、了解が得られやすく、同じ相手と何度も契約をする場合の文書を電子化するのに向いていると言えるでしょう。
CHECK! 当事者型は、「電子署名法」で定義された安心感がある |
3.あなたの会社に合う「電子署名サービス」とは
メジャーなサービスが良いとは限らない
立会人型と当事者型、両方に対応できるサービスもある
では、冒頭に掲げた電子署名サービスのなかから、自社に合うサービスを選ぶには、どのようにすればよいのでしょうか。
中小企業が電子署名サービスを利用するなら、手間がかからないため最近伸びている①立会人型サービスのなかから、契約会社数8万社を超え国内最多をうたっている『CLOUDSIGN』(弁護士ドットコム)や、②当事者型にも対応している『電子印鑑GMOサイン』(GMOグローバルサインHD)などを選ぶのがよいでしょう。
海外企業との取引が多い企業は、同じく①立会人型で、最近日本企業に攻勢をかけている、『DocuSign』(DocuSign)と『Adobe Sign』(アドビ)の2サービスも選択肢に入ってくるでしょう。
「海外企業との取引の際、相手が『DocuSign』や『Adobe Sign』を使っているならば、現地でトラブルが起こったときのことを考え、これらの海外システムを使うことはメリットになるでしょう。」(三浦さん)
なぜ②当事者型は売上高が大きいか
なお電子署名サービスで売上が大きいのは、②当事者型の『CONTRACTHUB@absonne』(日鉄ソリューションズ)や『かんたん電子契約』(セイコーソリューションズ)です(『ITR Market View:ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/電子契約サービス市場2020』)。
これは、「発行した証明書の枚数ベースで課金されるサービスのため大手企業で導入されているのでその分、売上金額も積み上がるから」(三浦氏)であるとのことです。セイコーソリューションズは「タイムスタンプ事業で国に認定された企業で、その信頼性が評価されているということもあります」(三浦氏)。電子署名法で定義されているという安心感や、売上シェアの多さで選ぶならこの2サービスになるでしょう。
このほか、エストニアのブロックハイブ社が作った、電子署名の無料プラットフォーム、『e-sign』のようにブロックチェーンのしくみを使ったサービスもありますが、それほど日本企業に浸透していません。三浦氏によれば「ブロックチェーンの技術自体が、まだ日本社会で一般的に信頼性が高いものとして認識されていないのが理由でしょう」とのことです。
CHECK! 自社の規模や営業地域を考慮して、利用するサービスを選ぶ |
「周辺機能で選ぶ時代」がやってくる
「署名」より大事な文書の管理と保存
今後、電子署名が更に普及していくと、電子署名サービスは電子署名の方法ではなく、その周辺機能で選ばれるようになると考えられます。なぜなら、「電子契約自体は、技術としては差別化しにくいソリューションだから」(三浦)です。周辺機能とは、電子署名した文書等を保存したり、契約期限を管理し契約切れのアラートを出す機能など他のアプリケーションと連携させる機能、あるいはワークフローシステム機能(社内で電子文書を送信し決裁処理等を進める機能)などのことです。
たとえば、『ContractS CLM 』(ContractS)という電子署名サービスは、これまでも一定のシェアを持っていましたが、2020年2月に弁護士ドットコムと提携し、電子署名部分については『CLOUDSIGN』(弁護士ドットコム)の仕組みを連携させて使用すると発表しました。
「今後は電子署名の部分を担う業者は集約され、周辺機能で差別化が進むでしょう。DocuSignは買収により、契約書のライフサイクル全体を管理するCLM(Contract Lifecycle Management)を標榜していますし、ContractSも国産のCLMベンダーと認識しています」(三浦氏)。
海外製のサービスは「使いにくい」場合がある
そうなると、電子署名サービスを選ぶ際に、周辺機能が自社の仕組みに合っているかどうかということを確認しておく必要があります。特に海外製の電子署名サービスについては、注意が必要です。海外企業では、ある契約に関して、担当役員の承認だけで決裁できる場合が多いのですが、「決裁に何人もの複数の役員の承認を必要とすることが多い日本企業にとっては、海外仕様の社内決済のワークフローが必ずしも合わないこともある」と三浦氏は言います。
2020年1月にクラウドストレージサービスのDropboxがHelloSign(ハローサイン)という電子署名サービスのスタートアップを買収しました。9月30日には日本で正式なサービス開始を発表しています。
「契約書は、結局ドキュメントのひとつでしかありません。そのドキュメントの保管や管理に強いオンラインストレージサービスを展開する会社が電子署名の機能を持てば、電子契約サービスとしての利用も大きく拡大する可能性 もあります」(三浦氏)。
今後、意外な業界から、ゲームチェンジャーが現れる可能性も無視できないようです。
CHECK! 電子署名が当たり前になれば、周辺機能で選ぶ時代がやってくる |
【参考】①立会人型の国内法上の位置づけは?
当局が「当事者型と同様に扱える場合がある」との見解
なお、②当事者型が電子署名法で定義されている一方で、「①立会人型は、国内法上どのように位置づけられるのか」という疑問が生じるかもしれません。①立会人型は、2つの点で②当事者型と異なるからです。1点目の違いは、当事者同士ではなく、立会人が契約の真正性や本人確認を行うという方式の違いです。そして2点目の違いは、技術的な違い(公開鍵暗号が使用されるとは限らないこと)です。大手企業を中心に、①立会人型の電子署名サービスの利用に踏み切れない会社があるのは、これらの違いがあるためです。
しかし、1点目の方式の違いに関しては、総務省・法務省・経済産業省が、①立会人型を②当事者型と同様に扱える場合があるとの見解(電子署名法2条1項に関するQ&A)を出しています。
サービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保しようとするサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されていると認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、その利用者であると評価し得るものと考えられる。
引用元:電子署名法2条1項に関するQ&A
これは、①立会人型のなかには、電子署名法で定義された②当事者型と同様に評価できるものがあるとの見解を、当局が示したものです。
官民一体で①立会人型の実務利用を認めるムード
電子署名法は、日本独特の印鑑証明制度をそのまま電子化する②当事者型を前提として作られてしまいましたが、①立会人型の効力を否定するものではありません。急いで「脱はんこ」を進めなければならないという社会的要請があるなか、現在は官民が一体となって、①立会人型を②当事者型と同様に扱おうと、いわば“なし崩し的”に①立会人型電子署名の法的有効性を認め、利用しようとする動きが強まっている状態であるといえます。このような現状は、結果的に①立会人型電子署名の実務利用にプラスに働いていると言えるでしょう。
また2点目の技術的な違いについては、そもそも電子署名法は、「電子署名」を、技術的な方式で限定していません。そのため、①立会人型も、法的に有効な電子署名となり得ます。
各社が提供する電子署名サービスでは、必ずしも①立会人型②当事者型といった言葉でサービスの説明がされているわけではありません。しかし、電子署名サービスがどちらのタイプであるのかを意識し、特に①立会人型の場合は、サービス提供会社が信用できる会社であるかどうかを判断しながら、加入するサービスを検討することが必要です。
CHECK! 官民一体で①立会人型を認めるムードが強まっている |
文・編集=eon-net編集室 協力=奥田由意