記事の目次
※この記事は「ダイヤモンド働き方研究所」から移管されました。
ユーザー500人調査で判明!経費精算クラウドサービス 最新ベスト20
第1位 | アンケートでの採用率トップ「楽楽精算」 |
総合評価 |
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第2位 | わかりやすい画面デザインで高いユーザー評価「経費BANK II」 |
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第3位 | 経費精算システムで20年の実績「eKeihi」 |
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第4位 | 即日運用開始することも可能「ジョブカン経費精算」 |
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第5位 | 画面デザインのファンが多い「経費精算freee」 |
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第6位 | 会計クラウド系では機能が充実「マネーフォワードクラウド経費」 |
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第7位 | 大企業の間で高い人気を誇る「Concur Expense」 |
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第8位 | スケジュール登録から交通費を算出「desknet’s NEO」 |
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第9位 | タイムカード打刻で交通費精算もできる「kincone」 |
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第10位 | グループウェアの一部として利用できる「kintone」 |
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第11位 | 「領収書のデータ化」に特化したサービス「Streamed」 |
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第12位 | G Suite(ビジネス用gmail)と連携して力を発揮「rakumoケイヒ」 |
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第13位 | AI学習機能で移動ルートを覚えて自動入力「RECEIPT POST」 |
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第14位 | 旅費交通費精算に特化し他のクラウドにも機能提供「駅すぱぁと旅費交通費精算管理Web」 |
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第15位 | グループウェア連携しつつ充実した経費精算機能「TeamSpirit」 |
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第16位 | スマホとタブレットだけで経費精算が完結「Spendia」 |
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第17位 | 出退勤打刻で交通費も精算できる「ネクストICカード」 |
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第18位 | 社員の出張手配状況も「見える化」する「J’s NAVI NEO」 |
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第19位 | 通勤費の管理もできコスパが高い「らくらく旅費精算.net」 |
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第20位 | パナソニックグループの信頼性「MAJOR FLOW Z CLOUD」 |
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※経費精算クラウド利用者500人の平均満足度(5段階評価)と、利用者数をポイント化したもの(同)を平均した数字でランキング
以上の表は、主要経費クラウドサービス20製品について、経費精算クラウド利用者500人のアンケート結果から、ユーザー評価にメジャー度(シェア)を加味した「総合評価」でランキングしたものです。ランキング1位は楽楽精算、2位は経費BANKⅡという結果になりました。
シェアトップは楽楽精算、評価トップは経費BANKⅡ
そこで、それぞれの製品がユーザー評価の高さからランキング上位となったのか、それともシェアが高い製品だったからランキング上位となったのかを分かりやすくするため、「ユーザー評価」(横軸)と「メジャー度」(縦軸)でマッピングした、次の図もご覧ください。
業界内の立ち位置・評価がまるわかり!経費精算クラウドシステム最新ポジショニングマップ
以上のマッピングから楽楽精算やConcur Expenseは採用する企業が多く、経費BANKⅡ、kincone、経費精算freeeはユーザーの評価が高いことがわかります。その他にも、右下のエリアにはシェアは必ずしも高くなくても、ユーザーに根強い支持を得ているクラウドサービスが集まっています。
経費精算メインなら「多機能型」から選ぶのが無難
冒頭のベスト20では、それぞれの経費精算クラウドのタイプ別に【多機能型】【機能限定型】【勤怠管理型】【グループウェア型】のアイコンをつけて、その製品の性質を分類した。
【多機能型】のアイコンがついたサービスは、旅費出張費や交際費精算に対応し、スマホアプリ、OCR(領収書自動読込)、承認フロー、経路検索、ICカード/クレジットカード連携、自動仕訳、違反チェック、銀行振込、請求書支払など、一通りの機能を備えている、主として経費精算を目的に開発された製品です。そのため、アップデートも経費精算の機能強化がメインになります。ランキングでも、上位はこの【多機能型】が占めています。経費精算の効率化を主たる目的にクラウドを導入するのであれば、この分野から選定すれば間違いはないでしょう。
経費精算機能のうち、必要なもの/不要なものがはっきりとわかっているなら、【機能限定型】から選ぶ手もあります。たとえば駅すぱぁと旅費交通費Webはその名の通り旅費交通費に特化したサービスです。バス路線も含め交通情報や経路検索機能は充実していますが、備品購入や飲食費などの経費には対応していません。Streamedはスマホ撮影/スキャンした領収書やクレカ明細をデータ化するのに特化したサービスで、その速さと正確さがウリです。経路検索や承認ワークフローなどはありません。
経費精算“も”できるクラウドサービス
そして上記のクラウドサービスの中でも、実は経費精算が主ではないサービスもあります。【勤怠管理型】のアイコンがついているサービスは、経費精算よりも勤怠管理がメインで、交通系ICカードをタイムカード代わりにして出勤の打刻と同時に交通費の情報も取り込み、経費精算“も”できるというもの。タイムカードをかざすという日常の動作だけで経費精算が済んでしまうというメリットは大きいですが、ICカードに記録がない経費については経費精算に対応していない場合があります。
【グループウェア型】はオフィスのあらゆる業務を効率化するための統合サービスです。カレンダー、タスク管理、勤怠管理、顧客管理、ワークフロー、ウェブメール、文書管理、ビデオ会議、会議室予約などのさまざまな機能があり、経費精算はその中の1つという位置付けです。このタイプは全社員がさまざまな業務に活用し情報や機能を連携してこそメリットを発揮するもので、導入したクラウドを経費精算だけにしか使わない予定なのなら、あえて候補にする理由はありません。しかし、経費精算クラウド導入を機に、会社の業務全体を見直したい場合には、有力な候補となるでしょう。
将来的なニーズも予想しておく
経費精算クラウドのタイプを選ぶにあたっては、現在あるニーズだけでなく、将来的なニーズもある程度予測しておくことが重要です。たとえば、「交通費の精算は件数が多く確認作業が大変だから、これだけ処理できれば大助かり」という会社の場合には、交通費精算だけに特化したサービスを選んでも構いません。
しかし将来、「会議費や飲食費も領収書をスマホで撮って申請できるようにしたい」となったときに、交通精算などに特化しているサービスを導入してしまうと、将来サービスを乗り換えなくてはならなくなるかもしれません。今後、経理の効率化をどのように進めていくか、どこまでクラウドを活用するかといった方針は確認しておきましょう。
導入時に必ず確認すべき「周辺機能」とは?
「定期券区間の控除」「タイムスタンプ」……細かな機能の違い
経費精算の申請→承認→管理をクラウドサーバー上で行うことで、経理の仕事を効率化し、ネット接続の環境があれば社外からでも申請や承認ができたり、その過程を経理担当者が確認できるといった基本機能は、いずれのサービスも共通しています。しかし、周辺機能で何ができるかは違いがあります。
たとえば、交通費の精算で経路検索機能があれば、出発地と目的地を入力すると最短/最安/最適ルートと料金が表示され、実際に利用したルートを選択するだけで経費申請に進めます。これに定期券控除機能が付いていれば、申請者の通勤定期券で乗車できる区間は経費から除いて申請されるので、経費の重複払いを防ぐことができます。さらにICカード連携機能があれば、Suicaなど交通系カードをリーダー端末にかざすだけで利用履歴が取り込むこともできます。
請求書や領収書などの処理でも、スマホで撮影したレシートや領収書の画像を正式な申請書類として添付できるタイムスタンプ機能や、その画像から文字情報を読み取って自動入力してくれるOCR機能があるかどうか、そして、領収書の画像を見てサービス会社の担当者が代行入力してくれるオペレータ入力などの有無で違いが出ます。
ほかにも金額や仕訳項目に応じて上司の承認ルートを変更したり、毎日の出退勤の打刻と経費申請処理を連動させたり、銀行口座への支払い処理まで管理したり、経費精算のデータを会計ソフトに取り込むといった機能が、サービスによってある/なしに分かれます。
実際に使っている人が「便利だ」と感じる機能
では数多くある機能のうち、経費精算クラウドサービスを実際に利用している人たちが特に便利だと感じている機能はどの機能なのでしょうか。 アンケートで聞いたところ以下のような結果が出ました。
第1位 | スマホアプリでの申請・承認 | 20.8% |
第2位 | 交通費精算(駅名入力で最適ルートを検索) | 16.4% |
第3位 | 出張申請・精算 | 12.8% |
第4位 | 領収書のスマホ撮影・OCR読込 | 9.6% |
第5位 | 領収書のスキャン・OCR読込 | 6.2% |
第6位 | 交通系ICカード連携 | 5.6% |
第7位 | 経費予算管理 | 5.4% |
第8位 | クレジットカード連携 | 4.8% |
第9位 | 定期券区間控除 | 4.4% |
第10位 | オペレータ入力代行 | 4.2% |
第11位 | 承認フロー表示 | 4.2% |
第12位 | 請求書への支払い申請 | 2.0% |
第13位 | 撮影スキャンした領収書の破棄(電子帳簿保存) | 1.2% |
第14位 | 交通機関のチケット予約 | 0.8% |
スマホアプリ対応は「必須」
以上の結果から「スマホアプリ対応」「経路検索機能を備えた交通費精算」「出張申請・精算」「領収書のスマホ撮影・OCR読込」「領収書のスキャン・OCR読込」「ICカード連携」などが重宝される機能と言えるでしょう。もっともこれはあらゆる部署で働く人に聞いた結果なので、経理担当者に限定して聞けば承認フロー表示や定期券区間控除などが上位にくるかもしれません。自社で必要不可欠な機能と使わない機能、今は使っていないが取り入れたい機能は何かを見極め、候補を絞り込むようにしましょう。
経費精算の細かい手順については、会社によって微妙に違いがあり、その会社にとって完全に過不足のないシステムは、高額なオーダーメイドでしか作れない場合もあります。手頃な価格で経費精算を効率化しようと思ったら、ある程度はサービスに合わせて会社の経費精算手順やルールの方を変えることも検討する必要があるでしょう。
初期費用がある製品とない製品、結局どちらが割安か
料金は「初期費用+月額利用料+オプション」が一般的
経費精算クラウドを導入しようという企業にとって、機能と同じくらい重要なのはコストでしょう。料金体系はサービスによって違いがありますが、基本的には「初期費用+月額料金+オプション」がベースになっています(月額料金の部分は利用者数によって変動する/最低利用人数・最低利用料金の設定も)。
たとえばアンケート調査で1位の楽楽精算の場合、初期費用11万円(税込)+月額料金3万3000円(税込)〜、HPには記載がないがICカード連携と電帳法対応はオプション設定です。月額料金は人数に応じて変動しますが「何人で幾らになるか」は問い合わせて確認する必要があります。
2位の経費BANKⅡは初期費用19万8000円(税込)+月額料金50人まで3万3000円(税込)、利用者が50人を超えた部分は50人単位で1万円ずつ増額します。こちらもICカード連携機能と添付ファイル機能を利用するにはオプション料金が必要になります。
3位のeKeihiは初期費用が0円で、月額料金は50人まで3万1900円(税込)。50人を超えると50人単位で料金がかかるが1人あたりでは割安になっていきます。また海外出張、振替伝票、支払依頼データ取込、電帳法対応などがオプション設定になっています。
ほかにはプランによって利用者人数の上限と利用できる機能が区切られている経費精算freeeや、利用人数ではなく経費レポート数に応じた月額費用になっているConcer Expenseなどがありますが、利用人数が多くなるほど月額料金が増え(1人あたりは割安になる)、使える機能が増えるほど料金が上がるところはだいたい共通しています。
無駄な「営業マン訪問」を減らすには
ただし、詳細なところまではHPの情報だけでは比較できません。経費精算クラウドはBtoBのサービスということもあり、あえて詳細までは記載していない会社が多いです。電話で問い合わせると「詳細は営業マンがご訪問して説明させていただきます」という展開になるのは避けられません。
せっかく来てもらっても、基本的な機能や料金面で折り合いがつかなければ、お互いにとって時間がムダになります。機能とおおよその料金体系、そして口コミを参考にある程度まで絞り込んだら、資料請求やアイミツをとり「ウチだと何がいくらで利用できるのか」を確認した上で選定したいですよね。
となると、満足度やシェアをベースとした上記のランキングを参考に、機能や料金そして口コミ等で選別し、資料請求なり見積もりを取って比較検討するのがおすすめです。なお個別サービスの紹介ページには実際に使っているユーザーの辛口評価をそのまま掲載しているので、そちらも参考にしてください。
導入するなら「今がベスト」である理由
では最後に、経費精算クラウド導入に向けてどのように社内を説得するべきか、その材料となる事実を示しておきます。一般的にも、今が絶好の導入時期であって、導入のリスクは少ないと言えるのです。
現在は利用者が急速に増える「普及拡大期」
医療・福祉や建設業などでは導入が遅れている
これまで、経費精算クラウドの導入について、とりあえず様子見をしてきた会社も多いことでしょう。ダイヤモンド働き方研究所がビジネスパーソン2000人を対象に実施した事前アンケートでも「経費精算クラウドを使用している」と答えた人は全体の25.3%と、全体の4分の1でした。メーカー(34.4%)やネット・情報通信(31.9%)では導入率が3割を超えている一方で、医療・福祉や建設業では2割にも満たないなど業界によっても差がありました。
経費精算クラウドの利用度 (業種別)
メーカー | 34.4% |
ネット・情報通信 | 31.9% |
金融、保険 | 29.3% |
電気・ガス・熱供給・ | 29.2% |
学術研究、専門・技術サービス | 24.2% |
宿泊、飲食店 | 23.7% |
マスコミ・出版・広告 | 22.9% |
生活関連サービス、娯楽 | 22.8% |
教育学習支援 | 22.5% |
公務員 | 22.4% |
卸売・小売・商社 | 21.9% |
不動産、物品賃貸 | 21.7% |
運輸、郵便 | 21.5% |
医療、福祉 | 19.2% |
建設 | 18.8% |
普及率25.3%を高いと見るか低いと見るかは、人によって印象の分かれるところかもしれません。しかし、新しい商品やサービスが出て世の中に浸透していくまでの段階でいえば、16%を超えて50%に達するまでのゾーンは利用者が急速に増えていく「普及拡大期」にあたります。
サービスが登場した当初は業界的にも試行錯誤があり、サービスにもバグが頻出するなどどうしても粗削りな部分が出るものです。しかし、初期利用者の苦情や要望を吸収・反映しながら徐々に不具合を改善し、使えるものになっていきます。経費精算クラウドサービスに関しては電子帳簿保存法の改正や「働き方改革」などを追い風に、ここ数年で一段と完成度が高まり、多くの企業が安心して導入できるようになりました。
3年以内に普及率が5割を超える可能性
下図は、経費精算クラウドを利用している人に、「勤務する会社でいつ導入されたか」を尋ねたもので、直近5年間で急速に導入した企業が増えていることがわかります。この伸び方なら普及率50%を超えるのに3年とかからないのではないでしょうか。各社が市場シェア獲得に躍起になっているいまこそ、導入を検討するには最適なタイミングといえます。
経費精算クラウドは「失敗」が起きにくい
経費精算クラウドを選定する担当者にとっては、社員が使いこなせるか/導入によって混乱が起きないかが、いちばん心配なところではないでしょうか。ですが、安心できるデータがあります。現在使っている経費精算クラウドサービスに対する満足度を訪ねた項目では、「満足」と答えた人は全体の52.4%に上っています(とても満足12.2%+まあ満足40.2%)。また「ふつう」と答えた37.0%を合わせると89.4%が「少なくとも不満は抱いていない」ことになります。
社員の年代を問わず、高い満足度
ここから「どの経費精算クラウドサービスを選定しても9割近くの社員には受け入れられる」という見通しが立つのではないでしょうか。もちろん「やや不満」(8.6%)や「とても不満」(2.4%)と答えた人も1割近くはおり、担当部署/担当者がいかにフォローできるかは工夫が必要なところですが、経費精算の手書きからクラウドへの移行は、多くの人が考えているよりもはるかにスムーズに進むと楽観して良さそうです。
ちなみにこの手のサービスでは年齢が上になるほど苦手なイメージがありますが、アンケート結果では年代と満足度の相関関係は認められませんでした。
以上のように、経費精算クラウドを採用する企業が増加し、多くの会社で社員の満足が得られている現在は、導入に向けて、社内の納得が得られやすい時期でもあると言えます。本記事に掲載されたランキングやマッピング等を参考に、あなたの会社にとって良いサービスを選んでください。
構成=渡辺一朗 イラスト=タケウマ 編集=eon-net編集室