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専門家が勧める販売管理システムの選び方
販売管理システムにもさまざまな製品があり、それぞれ特徴やカバーできる業務範囲が異なります。
自社にあった販売管理システムを導入するために、製品選定において着目すべきポイントについて、久保寺さんに伺いました。
【販売管理システム選定の3ポイント】
- ERP型か販売管理特化型か
- パブリッククラウドかプライベートクラウドか
- サポートの充実度
(1)ERP型か販売管理特化型か
──販売管理システムはどのように選ぶとよいのでしょうか?
まずは製品の機能に注目しましょう。
販売管理システムは製品によって機能範囲がまったく異なります。大きく2つのタイプに分類が可能です。
1つ目は、問い合わせ管理、受発注管理、入金管理、売掛管理などの基本機能を備えた販売管理特化型。もう1つが、それらの基本機能に加えて、購買管理、会計、請求書発行、勤怠管理など、販売管理以外の機能も備えたERP型です。
受注や売上の管理ができればよいのに、オールインワンパッケージになっているERP型の製品を選んでしまうと、使わない機能が多くなり無駄なコストが発生してしまいます。
まずは、必要な機能を洗い出し、製品の要件定義を行った上で、販売管理特化型とERP型のどちらが自社にあっているかを判断してください。
(2)パブリッククラウドかプライベートクラウドか
クラウド型の販売管理システムであれば、さらにパブリッククラウド型とプライベートクラウド型に分けられます。
パブリッククラウド型は、他社も含めたユーザー全体でクラウド環境を共有するのに対し、プライベートクラウド型は自社専用のクラウド環境を構築して利用します。
プライベート型の方がカスタマイズ性が高く、自社に最適化したシステムを構築しやすい反面、機能の追加したり、環境のバージョンアップをしたりするたびにコストが発生します。また、サーバーの管理やメンテナンスなども自社で行わなくてはいけないので、専門知識を持ったシステム担当者が必要になります。
一方のパブリッククラウド型は、カスタマイズ性では劣るものの、システムのアップデートやメンテナンスはサービス提供会社が行ってくれるので、運用の負担が小さくてすみます。
システム部門がない企業であれば、パブリッククラウド型を選択した方がよいでしょう。
(3)サポートの充実度
サポート体制の充実度もチェックしておきたいポイントです。
「電話は3回まで無料だけど、それ以上は課金」「格安プランを選択した場合、サポートはなし」といった条件がある製品もあります。料金が安いからという理由だけで、製品やプランを選ぶと、失敗する可能性が高まります。サポート内容を冷静に把握した上で、選定を進めていきましょう。
主要な販売管理システム2製品を比較
販売管理システムの選定では、①ERP型か販売管理特化型か、②プライベートクラウドかパブリッククラウドか、③サポートの充実度、の3点が重要だと説明しました。
ここからは、数ある販売管理システムの中から、編集部がピックアップしたERP型と販売管理特化型の製品を1つずつ紹介します。
【製品比較表】
ZAC | 楽楽販売 | |
ERPか販売管理特化か | ERP | 販売管理特化 |
プライベートクラウドかパブリッククラウドか | プライベートクラウド | パブリッククラウド |
サポートの充実度 | 〇 | 〇 |
対応OS | Windows/Mac | Windows/Mac |
料金(税込) | 要問合せ | 初期費用 16万5000円 月額費用 6万6000円〜 |
【ERP型】業務のカバー範囲が広い「ZAC」
ZACは大手上場企業からベンチャー企業まで幅広く支持され、750社を超える導入実績を持つ(2021年6月時点)ERP型販売管理システムです。
ZACは販売管理の機能に加え、購買管理、勤怠管理、工数管理、経費管理、ワークフロー、プロジェクト管理といった多様な機能を備えているのが特徴的です。
ほかにも、情報共有機能、管理会計機能、経営モニタリング機能などの機能あり、数ヶ月先の売上および利益予測を行い経営判断に役立てたり、赤字になりそうな案件を事前把握し対策を立てたり、といった使い方もできます。
導入・運用には、初期費用と月額のライセンス利用料金がかかります。また、データセンター利用料が別途必要です。詳細な料金に関しては問い合わせが必要です。
導入サポートとしては、業務フローのヒアリング、業務構築支援、社内向け説明会などが用意されています。
【販売管理特化型】サポートが充実している「楽楽販売」
楽楽販売は、株式会社ラクスが提供する販売管理特化型のシステムです。
問い合わせ管理、受発注管理、プロジェクト管理、営業案件管理、顧客管理など、販売管理に必要な機能が一通り備わっています。
楽楽販売の特徴は、「システム構築ツール」であるという点です。パッケージ型のソフトウェアと異なり、ユーザー側で必要な機能を組み合わせて、自社仕様にシステムをカスタマイズできます。マウス操作だけで行えるので、プログラミングの知識は不要です。
また、充実したサポート体制も楽楽販売の強みです。
【楽楽販売のおもなサポートサービス】
- 初期導入サポート
契約から3ヶ月間、導入から運用までをサポート - メールサポート
機能の使い方や運用に関する疑問をメールで問い合わせ可能 - サポートセミナー
楽楽販売の基礎知識を学べるセミナーを定期的に開催 - 学習ツール・動画マニュアル
セミナー参加が難しいユーザー向けのツール。スキマ時間に学習が可能 - 個別相談会
経験豊富なコンサルタントに個別相談ができる
導入・運用のコストは、初期費用16万5000円(税込)、月額費用6万6000円〜(税込)と設定されています。月額費用はデータベース作成数やユーザー数に応じて変動するため、詳しい費用を把握するためには問い合わせが必要です。
販売管理システムを導入するメリット
最後に、販売管理システムを導入するメリットについて、久保寺さんに伺いました。
【販売管理システムを導入するメリット】
- 業務を効率化できる
- データ品質向上を図れる
- データがリアルタイムに共有できる
- 業務の標準化が図れる
業務を効率化できる
──販売管理システムを導入するメリットを教えてください
まずは「業務の効率化」です。
見積りから始まり、受発注、そして売上にいたるまでの各過程には、さまざまな業務が含まれます。紙の発注書や受注書を使っていたり、Excelなどの表計算ソフトによって案件を管理していたりする企業は少なくありません。しかし、それらのやり方は非効率的で、人為的なミスも起こりやすくなります。
販売管理システムを導入すれば、Excelファイルへのデータ入力や紙の書類の受け渡しなどが必要なくなり、作業効率アップが見込めます。
データの品質向上が図れる
販売管理システムを活用すれば、さまざまデータを一元管理できるようになり、データ品質の向上も図れます。
販売管理システムを導入しておらず、紙やExcelで作業をしている場合は、データの入力や修正のたびに手作業が発生するので、記入ミスや記載漏れなどが起こりやすくなってしまうのです。
データ共有がリアルタイムにできる
販売管理システムでは、売上、在庫、買掛などの情報をデータベース上でまとめて管理ができ、さらに社内のメンバーとリアルタイムでそれらの情報を共有できるようになります。例えば、ある特定のチームで起こったデータの変化を、別のチームメンバーもシステム上で確認できるので、売上の予測を立てたり、適切な在庫の数を計算したりする際などに役立ちます。
業務の標準化が図れる
別々の場所に各データが保管されている状況だと、業務の進め方はチームや担当者ごとに差が出ます。そのような環境では作業やデータが属人化しやすく、担当者が変更になると、データの品質や作業の効率に悪影響が生じてしまう可能性があります。
こうした環境が慢性化していては、安定的な企業活動も保たれません。販売管理システムを導入すれば、各部門における業務の統一化・標準化が図れるため、個人への依存度も軽減し、組織としての利益最大化が図れます。
まとめ
販売管理システムの選び方や導入のメリットについて解説しました。
製品選定のポイントは、「ERP型か販売管理特化型か」「プライベートクラウドかパブリッククラウドか」「サポートの充実度」の3つです。これらのポイントを参考に、自社に合った製品を検討してみてください。