この記事の目次
SEOツールの役割と分類
まずはじめに、SEOツールを選定する前に押さえておきたい基礎知識を解説します。
SEOツールの役割
SEOは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略称です。自社Webサイトを上位表示させ、検索エンジン経由の訪問者を増やす施策を指します。具体的にはターゲットをひきつけるコンテンツ制作、HTMLタグの最適化、スマホユーザーの使い勝手の向上(スマホフレンドリー)などがあげられます。
広告のような短期的な効果は見込めませんが、長期的にコストを抑えて集客するにはSEO対策が有効です。そこで活躍するのがSEOツールです。
SEOツールを活用することで、アクセス数、CV数、離脱率、流入経路などのデータを自動で収集し、Webサイトの改善が図れます。
SEOツールの分類
SEOツールは目的によって、モニタリングツール、コンテンツSEOツール、その他の3つに大別できます。
それぞれの特徴を解説していきます。
1.モニタリングツール
モニタリングツールは、Webサイトの順位やアクセス状況を可視化するツールです。代表的な製品としてはGoogle AnalyticsやGoogle Search consoleがあげられます。
モニタリングツールの目的は、さらに【内部対策】【外部対策】【順位計測】の3つに細分化できます。
【内部対策】
サイト構造やHTMLタグといった、Webサイト内部の改善を図るための施策を内部対策といいます。
内部対策機能を備えたモニタリングツールを活用することで、アクセス数を把握したり、Webサイトの構造に問題がないか調査したり、タグの問題を発見したりすることが可能です。
【外部対策】
自社以外のサイトから外部リンクを獲得するための施策を外部対策と呼びます。
良質なリンクをたくさん獲得できるとGoogleからの評価が高まり、自社サイトの表示順位アップが見込めるため、外部リンクの獲得が重要になるのです。
外部対策用のモニタリングツールでは、リンクがどれくらい獲得できているか、問題があるリンクはないかなどを調査することが可能です。
悪質な外部リンクはサイトの評価を下げる
かつてSEO会社にお金を払って外部リンクを獲得する施策が広く行われていたことをご存知でしょうか? 現在ではこのような手法はGoogleから不適切だと判断されており、ペナルティを受ける可能性があるので注意しましょう。
【順位計測】
あるキーワードで検索したときの、Webサイトの表示順位を測定します。
例えば、革製品を扱っているECサイトの運営担当者が、「レザー ウォレット 国産」というキーワードで検索した場合の、自社サイトの順位をチェックしたいとします。
手作業だと都度キーワードを入力し検索結果を1ページずつ確認していく必要がありますが、順位計測ツールを利用すれば瞬時に把握可能です。測定期間を設定して、順位変動を確認することもできます。
2.コンテンツSEOツール
コンテンツSEOとは、ユーザーの検索意図に合致したコンテンツを提供し、検索エンジンからの集客を増やす手法です。近年のSEO対策の主流でもあります。
コンテンツSEOツールを活用することで、質の高いコンテンツを制作するために役立つデータの取得・分析が可能になり、SEO施策の策定・検証の精度改善や効率化が見込めます。
コンテンツSEOツールは、さらに【キーワード分析】【競合分析】の2つに細分化できます。
【キーワード分析】
キーワード分析とは、キーワードを軸にWebサイト訪問者の動きや検索意図、ニーズなどを把握し、アクセス数を増やすために必要な改善策を洗い出すことです。
キーワード分析を目的としたツールには、どのくらい検索ボリュームがあるか、集客効果が高いキーワードは何か、ユーザーはどのようなキーワードでサイトに流入しているか、あるキーワードに対して自社Webサイトの検索結果は何位なのか、といったことを調査するための機能が搭載されています。
【競合分析】
競合分析は、他社サイトの状況を調べて自社サイトの強み・弱みを分析し、訪問者を増やすための施策を考え出すことです。
競合分析用のツールには、競合サイトのアクセス数やユーザーが訪問するきっかけになったキーワード(流入キーワード)などを調査する機能が搭載されています。
3.その他SEOツール
上記2種類のほかにも、Webサイト内のリンク切れを発見するツール、アクセスビリティを診断するツール、読み込み速度を計測するツール、ABテストを行うツールなどがあります。どれもSEO対策に役立つツールですので、要件に応じて検討してみましょう。
まずは無料のGoogle公式ツールから導入しよう
SEOツールの導入を検討しているのであれば、まずは無料で使えるGoogle公式ツールからはじめるのがおすすめです。無料といっても基本的な機能は一通り備わっており、多くの企業で利用されています。
ここでは、目的別に代表的な4製品を紹介します。特にGoogle AnalyticsとGoogle Search Consoleは、WebサイトのSEO対策に不可欠なツールですので、要チェックです。
【内部対策】導入必須のアクセス解析ツール「Google Analytics」

【基本情報】
運営会社 | |
初期費用 | 無料 |
利用料金 | 無料 |
公式サイト | https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/analytics/ |
Google Analyticsは、Webサイト運営に携わる方とって必須ともいえるSEOツールです。「Webサイトの訪問者はどれくらいか」「どのページがよく見られているか」「平均滞在時間はどのくらいか」といった情報がわかります。
Google Analyticsの公式サイトから必要情報を登録し、トラッキングコードを設置すると必要なサイトの情報を取得できるようになります。
【順位計測/内部対策】表示回数やクリック率がわかる「Google Search Console」

【基本情報】
運営会社 | |
初期費用 | 無料 |
利用料金 | 無料 |
公式サイト | https://search.google.com/search-console/about |
Google Search Consoleは、自社のWebサイトを訪れたユーザーの検索エンジン上での動きを把握できるツールです。表示順位やクリック率、流入キーワードなどのデータを取得できます。
また、「スマホユーザーに最適化されていない」といった課題も洗い出してくれるため、UI/UX改善にも効果的です。
Google Analyticsと連携するとより多くのデータが取得でき、SEO対策に活用できます。
【キーワード分析】キーワードの入札単価や検索ボリュームがわかる「Google キーワード プランナー」

【基本情報】
運営会社 | |
初期費用 | 無料 |
利用料金 | 無料 |
公式サイト | https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/ |
Google広告出稿者向けのツールです。
出稿キーワードの入札単価や検索ボリュームを確認できます。過去に広告出稿をしていれば具体的な数値を把握できますが、出稿実績がないと概算データになります。
利用する際には、Googleアカウントとは別に広告アカウント(クレジットカード登録必須)が必要です。
【キーワード分析】検索トレンドが把握できる「Googleトレンド」

【基本情報】
運営会社 | |
初期費用 | 無料 |
利用料金 | 無料 |
公式サイト | https://trends.google.co.jp/trends/?geo=JP |
キーワードが特定の期間内にどれくらい検索されたかを把握できるツールです。
検索回数に関連するリアルタイムのデータが表示されるのが特徴。測定期間は最短で過去1時間、最長で2004年から現在まで設定できます。
Google キーワードプランナーと違って検索ボリュームを確認することはできませんが、世の中のトレンドを素早く把握するのに役立ちます。
前述の3製品とは異なり、登録しなくてもすぐに利用できます。
おすすめモニタリングツール4選を比較
ここからは、種類別におすすめのSEOツールを紹介していきます。まずは、モニタリングツール4製品です。
【順位計測】競合サイトと比較・分析が行える「Gyro-n SEO」

運営会社 | 株式会社ユニヴァ・ジャイロン |
初期費用 | 無料 |
月額料金 | 550円~1万8480円 |
公式サイト | https://www.gyro-n.com/seo/ |
デジタルマーケティング支援システム「Gyro-n(ジャイロン)」シリーズの、SEO統合管理ツールです。
検索順位のチェックやページ分析などが可能。競合サイトの順位変動やインデックス数なども把握できるので、自社サイトのデータと比較しながら改善が図れます。
3ヶ月間の無料トライアルがあるため、本導入前にじっくり使い勝手をチェックできるのも特徴です。
【順位計測】大量キーワードを一括で調査「Demand Metrics」

【基本情報】
運営会社 | DemandMarkets株式会社/DemandSphere株式会社 |
初期費用 | 要問合せ |
利用料金 | 要問合せ |
公式サイト | https://www.demandsphere.jp/demandmetrics |
大量のキーワードを一括で調査・分析できるSEO順位計測ツールです。
登録したキーワードの順位変動データは、競合サイトのものもあわせて確認可能。また、競合発見機能によって、競合として登録していないサイトのデータもチェックできます。
オリジナルのダッシュボードを開発したり、他プラットフォームと連携したりできる点も特徴です。
【内部対策】サイトのメンテナンスにも役立つ「Screaming Frog SEO Spider」

【基本情報】
運営会社 | Screaming Frog Ltd |
初期費用 | 要問い合わせ |
利用料金 | 年額£149.00(約2万3000円) |
公式サイト | https://www.screamingfrog.co.uk/seo-spider/ |
※無料版あり
Webサイト内の全ページの情報を収集して、タイトルやディスクリプション、リンクエラーなどを一覧化できるツールです。サイトのメンテナンスにも効果的です。
利用料金は年間£149.00(約2万3000円)に設定されています。機能制限のある無料版も提供されているので、まずはそちらで使用感を確認するとよいでしょう。
おすすめコンテンツSEOツール5選を比較
次に、コンテンツSEOに役立つおすすめ5製品を紹介します。
【競合調査/外部対策】競合の流入キーワードを把握し、サイトの改善が図れる「ahrefs」

【基本情報】
運営会社 | Ahrefs Pte.Ltd |
初期費用 | 無料 |
利用料金 | $99~$999(※約1万1484円〜11万5884円) |
公式サイト | https://ahrefs.jp/ |
競合サイトの被リンク数、被リンク獲得先、トラフィック数、検索順位、流入キーワードなどのデータを収集できます。
競合サイトの流入キーワードや被リンク獲得の傾向を把握できれば、自社サイトとの差分が明確になるため、改善施策のヒントが得られやすくなります。
【競合調査/キーワード】上位サイトを自動で分析「パスカル」

【基本情報】
運営会社 | 株式会社オロパス |
初期費用 | 要問い合わせ |
利用料金 | 4万9500円〜8万8000円 |
公式サイト | https://www.pascaljp.com/ |
検索エンジンの上位サイトを自動で分析できるツールです。
ページの文字数、関連キーワード使用割合、インデックス数、被リンク数、ページスピードなど、50項目で比較が可能。また、上位30〜50サイトの統計データを算出できるので、上位表示の傾向を把握し改善が行えます。
競合分析結果の画面はそのまま出力し、社内向けレポートやクライアントへの提案資料として活用できる点も特徴です。
【競合調査】競合サイトの流入チャネルがわかる「SimilarWeb」

【基本情報】
運営会社 | SimilarWeb Ltd. |
初期費用 | 要問合せ |
利用料金 | 要問合せ |
公式サイト | https://www.similarweb.com/ja/ |
競合サイトのアクセス状況を分析できるツールです。
検索エンジンだけではなく、SNSや有料広告からの流入も把握することが可能。競合サイトはどのチャネルから流入が多いのかがわかるため、自社サイトのターゲットキーワードの設定や流入経路の改善に役立ちます。
【キーワード分析】AIを活用したキーワード分析機能を搭載「ミエルカ」

【基本情報】
運営会社 | 株式会社Faber Company |
初期費用 | 〜11万円 |
月額料金 | 16万5000円〜66万円 |
公式サイト | https://mieru-ca.com/ |
AIを活用したキーワード分析機能を搭載し、自社WebサイトにおけるSEOの課題と改善策を提案してくれるのが特徴のツールです。
サジェストや共起語が一覧で表示されるので、競合サイトで順位がついているのに自社サイトでは獲得できていないキーワードを把握し、対策を検討できます。
無料トライアル期間があり、導入前に使用感をチェック可能。利用料金は月額16万5000円(税込み)〜と決して安価とはいえないものの、本格的にSEO改善に取り組みたい企業におすすめです。
【キーワード分析/順位計測/内部対策】自社サイトのSEO課題を可視化「TACT SEO」

【基本情報】
運営会社 | 株式会社ウィルゲート |
初期費用 | 無料 |
月額料金 | 5万5000円~ |
公式サイト | https://tact-seo.com/ |
検索ランキングで上位表示するために行うべきSEOの課題を自動抽出・可視化してくれるツールです。自社サイトと競合サイトをSEOの観点から比較・分析する機能や、出現頻度が高いキーワードをグルーピングする機能などが備わっています。
「上位表示するための打ち手が見つからない」「担当者の負担を軽減したい」といった課題を抱える企業に役立ちます。
【キーワード分析】無料で利用可能なキーワード調査ツール「ラッコキーワード」

【基本情報】
運営会社 | ラッコ株式会社 |
初期費用 | 無料 |
利用料金 | 無料 |
公式サイト | https://related-keywords.com/ |
無料で利用できるキーワード調査ツールです。
GoogleやBingといった検索エンジンだけでなく、YouTube、楽天、Amazonなどのサイトからサジェストや関連するQ&Aサイトを抽出できます。
ID登録をすませれば無制限で利用できますが、登録しない場合は1日に検索できるのが5キーワードに限定されます。
サイト改善に役立つその他SEOツール2選
最後に、モニタリングツールやコンテンツSEOツールには分類されないものの、SEO対策に有効なツール2製品を紹介します。
ページの読み込み速度調査ツール「PageSpeed Insights」

【基本情報】
運営会社 | |
初期費用 | 無料 |
利用料金 | 無料 |
公式サイト | https://pagespeed.web.dev/ |
Webページの読み込み速度を計測し、パフォーマンスレベルを把握できるツールです。
読み込み速度は、Googleが検索ランキングの評価要素として使用している重要な指標です。速いからといってランキングアップに直結するわけではありませんが、読み込みが遅いとGoogleからの評価が下がるだけでなく、訪問者の離脱にも繋がります。
ユーザー登録は不要。計測したいWebサイトのURLを入力だけで読み込み速度を計測可能です。「最初のサーバー応答時間を速くしてください」「レンダリングを妨げるリソースの除外」など、改善のヒントまで提示してくれます。
なお、PageSpeed Insightsではページ単位のみになりますが、Google AnalyticsではWebサイト全体の読み込み速度を測定可能です。
サイト内のコピペ箇所を発見できる「chiyo-co」

【基本情報】
運営会社 | CROCO株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
月額料金 | 4400円〜5万5000円 (無料プランあり) |
公式サイト | https://kagemusya.biz-samurai.com/ |
人工知能を活用し、コンテンツの無断転載を発見できるコピペ・類似チェックツールです。
他サイトコンテンツを無断で使用することは著作権法的に問題があるだけでなく、Googleからコピーコンテンツだと判断され検索ランキングが低下する可能性があります。
特に外部にコンテンツ制作を依頼している場合は、このようなツールでコピペチェックを行うことが重要です。
月10カウント解析まで無料で利用できるフリープランと、解析数に応じた3つの有料プランが用意されています。1000⽂字で1カウントと計測されますが、類似チェックはカウントが2倍になるため、本格的な運用を考えているならば有料版を選ぶ必要があるでしょう。
まとめ
マーケティング効果を高める手段としてSEO対策は重要です。
SEOツールは目的に応じて、モニタリングツール、コンテンツSEOツール、その他に大別できます。まずは、それぞれの特徴を理解してから製品を選定しましょう。
この記事を参考にして、自社に必要な機能を備えた製品を検討してみてください。