この記事の目次
名刺管理ツールとは
名刺管理ツールとは、整理が面倒な名刺をデータ化して、クラウド上で管理してくれるサービスのことです。名刺をスマホで撮影し、OCR(光学文字認識)機能やオペレータによって情報をデータ化。名刺情報から電話・メッセージ・メール等の発信ができたり、会社所在地を地図情報とリンクさせたり、営業支援ツールと連携して顧客管理に活用したりできます。
あなたの机の上にはもらった名刺が散らばっていないでしょうか? 必要に応じてガサゴソ探すのはスマートではないですし、個人情報管理の観点からも問題があります。輪ゴムでまとめたり、名刺ケースに入れておいたりするだけでは、それこそ「死蔵」。名刺管理ツールを使えば名刺情報はリスト化され、いつどこからでもアクセスできるようになります。
ビジネスにおいて名刺情報は、社内で共有することで何倍もの価値を発揮します。たかが名刺一枚といえども相手との大切な接点ですから、有効に活用したいものです。また、名刺管理ツールで名刺情報をリスト化しておけば、異動や退職などに伴う引き継ぎ作業もスムーズに行えます。
おすすめの名刺管理ツール10選
まずは名刺管理ツールの主だった顔ぶれを見ていきましょう。このジャンルには30以上のサービスが乱立していますが、ここでは編集部の法人向け/個人向けおすすめ10選を紹介します。比較のポイントや自社/自分に合ったサービスの選び方については、記事後半で説明します。
【法人向け】シェア84%の安心感、大企業や官公庁も採用「Sansan(サンサン)」
利用企業7000社、シェア84%でメジャー度は抜きん出ており、名だたる大企業が採用しています。名刺を読み取る精度は非常に高く、AIとオペレータによる手入力を併用し精度99.9%を実現。
名刺情報を取り込んでおくと該当企業や人物の人事異動や業績関連のニュースを自動で受け取れたり、メモや議事録を名刺データに紐づけて登録しておけば過去のやり取りとして社内で情報を共有できたりします。
データ管理以外の機能が豊富ですが、手厚いサービスゆえに、ライバルに比べ料金は高め。料金体系は公開されておらず、電話または応募フォームから申し込むと担当者から連絡があり、詳細を聞かれたのちに見積もりを受け取るシステム。初期費用含め、最初の敷居はやや高く感じられるかもしれません。
【料金】
初期費用 | 要問い合わせ(個別の見積りで最適プランを提示) |
月額料金 | 要問い合わせ(個別の見積りで最適プランを提示) |
専用スキャナ利用料 | 月額1万1000円/台 |
※料金はすべて税込
【法人向け】リーズナブルな料金体系と多言語対応「CAMCARD BUSINESS(キャムカード ビジネス)」
全世界で1.1億人以上のユーザー数がいる名刺管理ツール「CAMCARD」のビジネス向けソリューション。画像補正・OCR機能で名刺画像を5秒でデータ化、さらに専任のオペレータが目視して、最短5分で補正からクロスチェックまで行ってくれるので、高い精度で名刺情報をデータ化することができます。
オンラインでの会議や商談時でも名刺交換・共有できる機能(共有範囲は管理者が細かく設定可能)があります。また、メルマガや公開された人事異動情報の配信機能なども備え、英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語・フランス語・スペイン語など17カ国語に対応。ただし、オペレーターに補正してもらえる枚数には上限(STANDARDプランで1IDにつき月20枚)があります。
【料金】
初期費用 | 無料 |
STANDARDプラン | 1870円/ID |
PROFESSIONALプラン | 2750円/ID |
追加オプション | 人工補正枚数追加3300円/100枚(企業ごと) |
※料金はすべて税込
【法人向け】使いやすさ・わかりやすさに優れている「アルテマブルー」
キヤノン電子株式会社のグループ会社が提供しているサービス。組織内での使いやすさを考えた設計のため、専門知識や導入前の準備などはあまり必要なく、管理も比較的簡単です。取り込んだ情報をもとに「人脈マップ」を作成したり、営業日報を書いたり、メールを一斉送信したりと、営業活動を効率化できます。
また、コンサルティングや、2週間のトライアルを受けてから導入を決められるのは安心。料金体系は初期費用が無料、月額費用は1IDにつき2750円(税込)が基本。文字補正を専用オペレータに頼んだり、一斉メール配信を利用したりする場合などは、必要に応じてオプション料金が発生します。SalesforceやKintoneなどとの連携の良さもメリットの1つです。
【料金】
初期費用 | 無料 |
月額利用料 | 2750円/ID |
※料金はすべて税込
【オプション料金】
専用オペレーターによる補正 | 55円/枚 |
一斉メール配信 | 5000通まで1万1000円 |
追加ストレージ | 月額550円/1ID5000枚ごと |
CRM/SFA連携 | 初期費用11万円+月額1万3200円 |
日経人事ウォッチpro連携 | 10人まで月額5万5000円 |
IP制限設定 | 5万5000円/回 |
【法人向け】名刺管理を売上増に直結させたい企業向き「ホットプロファイル」
営業支援機能に注力した名刺管理ツール。名刺をスキャンまたは撮影した画像を、オペレータが手入力して顧客データベースへ格納してくれます。精度はほぼ100%です。
顧客データベースは、取引実績や訪問履歴などを加えていくことで「お客様カルテ」として蓄積されます。顧客が、配信したメールを開封したり、配信したWebサイトリンクを閲覧したりすると、商談化見込みの高い「ホットな顧客」として表示されるので、タイミングを逃さずアプローチすることが可能です。
さらに、タスク管理/営業報告/案件・商談管理なども行えるので、営業プロセスの強化にもつなげられます。
基本プランは名刺管理のみのEntry、名刺管理+営業支援のStandard、営業力強化のSales+、見込み客醸成・発掘のMA+の4種類。まずは名刺管理機能を利用し、段階的に営業支援等の機能を付け足していくこともできます。
【料金】
初期費用 | 要問い合わせ |
月額利用料 | 要問い合わせ |
【法人向け】名刺をどさっと送ってデータ化「メイシー」
たまった名刺を封筒に入れてメール便で送ると、スタッフによって正確にデータ化され、パソコンやスマホのアプリで管理・活用できるようになります。
物理的に「送る」というアナログな手段を用いている点がユニークですが、名刺が大量にあると、スキャンするだけでもかなり時間がかかります。送るのも面倒だという場合は、出張スキャンサービスや、自分でスマホ撮影して送信し、データ入力だけをやってもらうという方法も選べます。
サイト/アプリはシンプルで使いやすく、検索・閲覧・メール送信など軽快に操作できます。名刺情報からスマホで訪問先までの経路を地図で確認したり、直接電話をかけたりできる機能もあります。
利用料金は月額2178円(税込)で、ユーザー数は無制限。データ入力およびスキャンは1枚単位で料金が設定されており、わかりやすい料金体系になっています。
【料金】
初期費用 | 無料 |
月額利用料 | 2178円(ユーザー数無制限)※1 |
データ入力 | 27.5円/枚 |
スキャン料金 | 11円/枚※2 |
※2 自分でスキャンした場合はスキャン料金はなし
※最大名刺登録枚数は全ユーザー合計で2500枚。これを超える場合は月額1078円で2500枚ずつ追加可能
※料金はすべて税込
【法人向け】【個人向け】名刺管理に絞った従量制のサービス「名刺ファイリングCLOUD」
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(略称NTTデータ)のグループ会社が運営している、基本利用料が無料の名刺管理ツールです。
体裁は法人向けですが、個人利用も可能です。基本利用料無料が目を引きますが、登録枚数は100枚まで。個人利用でも上限に達してしまう枚数なので、有料サービスへの移行を前提に検討した方がいいでしょう。なお、1000枚登録できる有料版の「名刺ファイリングCLOUD Standard」でも年間2640円(税込)なので、リーズナブルな料金体系であると言えます。
データの閲覧は、個体認証済の端末では可能ですが、SNSや他システムとの連携は不可となっており、アクセス権限レベルも設定できるため、情報漏洩防止の仕組みは強固であると言えます。ただ、機能は名刺管理に絞られているので、SFA(営業支援システム)等と接続しない利用であれば、検討に値するサービスです。
【料金】
サービス名 | 年間利用料金 | 名刺登録可能枚数 | アカウント数 |
基本サービス | 無料 | 100枚 | 1名まで |
名刺ファイリングCLOUD Standard1 | 2640円 | 1000枚 | 1名まで |
名刺ファイリングCLOUD Pro1 | 3960円 | 5000枚 | 1名まで |
※料金はすべて税込
【個人向け】【法人向け】名刺交換を入口としたビジネスSNSアプリ「Eight(エイト)」
無料で利用できる個人向け名刺管理ツール。名刺交換を営業や顧客管理のため活用しようというガツガツした感じは少なく、人間関係を維持して情報収集やキャリア形成につなげていこうというSNS機能がメインになっているサービスです。
URLやQRコードを相手に送ることでEightを使っていない相手ともオンラインで名刺交換が可能。Eightでつながると、転職や昇進で相手の名刺情報に変更が出た場合に通知が届くなどの機能があります。画面構成や使い勝手はFacebookやビジネスチャットに似ています。
基本プランは無料ですが、有料のプレミアムプランを契約すると、データ化できる項目が増えたり、名刺データがダウンロードができるようになったりするなど、機能が拡張されます
OCRとオペレータの入力補助によりデータ化の制度はほぼ100%。30名未満の小規模企業向けに、データの社内共有や顧客リスト活用、採用やターゲティング広告などの機能を備えた「企業向けプレミアム」もあります。
【Eightの料金】
基本プラン | 無料 |
有料プレミアムプラン | 月額480円または年額4800円で名刺の全項目データ化(無料版は4項目まで) |
※料金はすべて税込
【Eight企業向けプレミアムの料金】
基本使用料 | 1万1000円/月 |
アカウント料 | 参加ユーザ数✕440円/月 |
【個人向け】【法人向け】完全無料のシンプルな名刺管理ツール「myBridge(マイブリッヂ)」
LINEが提供している名刺管理サービス。LINEと連携して使える機能(登録した名刺の共有など)もありますが、基本的にはLINEとは独立したアプリなので、「自動的にプライベートのLINE友だちにも通知が行ってしまう」といった心配はありません。
入力はOCR+オペレータによる補正で正確。電話着信時に相手の名刺情報を表示したり(iOS/Android9.0以前)、共有名刺帳で社内の名刺を一括管理したり、営業履歴データを追加したりも可能。外部スキャナとの連携や、PCでの閲覧・管理もできます。人的な入力補正があるのに登録枚数の上限がなく、全ての機能が無料で利用できるのは、画期的だと言えます。
【料金】無料
【個人向け】最大10枚の名刺を瞬時にデータ化「WANTEDLY PEOPLE(ウォンテッドリー ピープル)」
世界で400万人が使う人脈・名刺管理ツールで、すべての機能が無料で使えます。最大で10枚の名刺を一度に撮影し、データ化できます。スキャンした名刺の情報をもとにその会社に関する情報やその業界で話題になっているニュースなどを自動収集して追加してくれたり、相手が転職や昇進でプロフィールを更新すると通知が届きSNSのように「いいね」を送れたりします。
ほかにも、電話着信時の名前表示、連絡先の共有(アプリ内でも名刺の貸し借り)、Excelでのデータ書き出し、PC利用可能など、豊富な機能が備わっています。
ただし、これら機能が役立つのは、自分の知り合いや仕事上の関係者にWANTEDLY PEOPLEユーザーが多い場合です。また、myBridgeとの大きな違いは、人による補助入力があるかないかという点。myBridgeの方が人手が入るので正確ですが、WANTED PEOPLEの方がデータ化にかかる時間は短いと言えます。
【料金】無料
【個人向け】無料で500枚登録できる名刺管理の世界標準「CAMCARD(キャムカード)」
世界で1億人以上に利用されているメジャーブランド。既に紹介した「CAMCARD BISINES」の個人向けバージョンで、スキャナ機での取り込み、専任オペレータによる補正、企業データ管理などの機能が省略されています。
スマホで名刺を撮影すると、スマホ内の「連絡帳」に反映されるだけでなく、撮影した名刺にテキストや画像付きのメモ、To-Do項目、商談リマインダーなどの情報を添付することができます。ただし、無料で使えるのは登録枚数500枚までで、複数デバイスでの利用はできません。有料版のプレミアムアカウントにアップグレードすると、これらの制限が解除されます。
【料金】
初期費用 | 無料 |
月額利用料 | 無料(名刺登録500枚まで/広告表示あり/複数デバイスでの利用不可) |
プレミアムアカウント | 月間版:8.49 USD/月 年間版:46.99 USD/年 |
クラウド版の名刺管理ツールをおすすめする理由
名刺管理ツールには大別して自社サーバーで管理するオンプレミス版と、サービス提供会社が管理するサーバーを利用するクラウド版があります。本記事はクラウド版を紹介していますが、もちろんオンプレミス版にも良さはあります。名刺管理ツール導入を検討するうえで、双方のメリット/デメリットを理解しておきましょう。
オンプレミス版は、自社の都合に合わせて設計できる自由度の高さと、情報を手元で管理できる安心感がメリット。一方、開発費用は数百万円単位でかかり、社内ネットワークやサーバーなどを用意しなくてはいけません。それなりの規模がある企業でなければ、コストに見合う効果を得るのは難しいでしょう。
その点、クラウド版はコスパに勝ります。料金は法人向けの場合、社員1人あたり月1500~3000円+オプション料金が相場。個人向け(小規模会社含む)なら無料で使えるサービスもあります。システムのアップデートはサーバー側で対応するので常に最新版が利用可能。セキュリティに関しても、本記事で紹介したサービスはしっかりとした対策が講じられています。
会社員が個人向け名刺管理ツールを使うメリット
名刺管理ツールには「法人向け」と「個人向け」があります。「名刺情報をデータ化してクラウドに保管し、マルチデバイスで名刺情報にアクセスできる」という基本機能は両者が備えています。この基本機能に加えて、法人向けは導入前後の丁寧なサポート、社内での情報共有機能、営業支援ツールとの連携など、組織で使うためのサービス・機能が充実しています。
一方、個人向けには、社内のデータ共有機能や丁寧なサポートサービスはないものが多いですが、SNSとの連携機能が付加されているものがあります。個人向けサービスの利用料は法人向けよりも安く、無料で使えるものもあります。
会社勤めのビジネスパーソンでも、個人向けアプリを使うべき理由やメリットはあります。たとえば、勤務先の会社が名刺管理ツールの導入に前向きでない場合は、個人向け名刺管理ツールで名刺を整理し、スマホで使うだけでも十分にメリットはあるはずです。
また大きな声で言える話ではありませんが、独立を考えている人にとって、名刺情報は千金に値する価値があります。過去一度でも名刺交換をしたことのある人と、何の接点もない人とでは、営業するときに乗り越えなければならないハードルの高さがまったく違うからです。退職時、現物の名刺は会社に返上し、後任に引き継ぐのがマナーですが、人とのつながりまで放棄せよとなるケースはまれです(注1)。個人用の名刺管理ツールを使っていれば、独立後も継続して利用することができます。
※注1 業務上知り得た情報については社外に持ちだしてはならない守秘義務のルールは、名刺情報にも及ぶかどうかは判断の分かれるところで、裁判での判例も認める/認めないの両方がある。雇用契約や社内規定で名刺の保管や利用について厳密な取り決めがあり、禁じられている場合はもちろんアウト。競合他社への転職や独立で元会社から顧客を奪うような営業活動の場合も、トラブルに発展する可能性が高いと言えます。ただし、名刺が営業秘密に該当せず、退社後に連絡を取っても元会社に直接迷惑をかけない場合には、問題にならないケースがほとんどです。事前に上司に相談し了解を取っておくことができれば間違いはありません。 |
名刺管理ツールのキャラマップ

名刺管理ツールは、個人向け(図左側)と法人向け(図右側)に分かれます。ただし、個人(あるいは個人事業主)向けに作られたツールでも法人向けにも対応しているツールがありますし、その逆もあります。
さらに、そのツールの性格から「ガツガツ系」と「コツコツ系」に分かれます。「ガツガツ系」とは、名刺データを企業の売上増加や個人の収入アップのために積極的に利用していこうという目的で作られたツール。一方で「コツコツ」系は、名刺情報のデータベース化や整理・共有を目的として作られたツールです。
名刺管理ツールの比較ポイント
名刺管理ツールはクラウド版だけでも30以上のサービスが乱立している“レッドオーシャン”です。ほとんどの人がどのサービスを選べばいいか、迷うのではないでしょか。比較のポイントは以下の8つです。
- メジャー度
- 料金体系
- データ入力の方法と精度
- 使いやすさ/わかりやすさ
- セキュリティ
- CRM/SFAとの連携(法人向け)
- SNS的につながるか/つながらないか(個人向け)
- 外国語対応
1.メジャー度
メジャー度(より多くの企業が導入していること)は重要な選択理由になります。なぜなら、クラウド系のツールは、市場が成熟するほど、勝ち組と負け組の差が出やすいからです。
利用者を多く獲得した名刺管理ツールは新機能がどんどん加わったり、サポートやセキュリティが強化されたりして、ますます便利に進化します。一方、利用者が少ない名刺管理ツールは開発コストが抑えられ、アップデートの頻度が少なくなり、ユーザーの不満が解消されにくくなりがちだからです。
★メジャー度で選ぶなら <法人向け> Sansan <個人向け> CAMCARD |
2.料金体系
名刺管理ツールに何を求めるかによって、かけるべき費用は違ってきます。高性能・多機能で手厚いサービスが付いているものは高くなりますし、必要な性能・機能を絞り込んで選択すれば、コストを抑えられます。
またツールによっては、保存できる名刺の枚数に制限があったり、追加料金が必要になったりする場合があります。
料金は一般的に、初期費用+月額利用料✕人数+オプション料金で決まります。1ヶ月に何枚程度の名刺を登録するか、ざっくりとでも事前に把握できていると選びやすいでしょう。
★コスパで選ぶなら <法人向け> CAMCARD BUSINESS <個人向け> myBridge |
3.データ入力の方法と精度
名刺の読み取りには以下の3通りがあります。
- OCR(光学文字認識)による読み取り
- オペレータによる読み取り
- OCRが判読した後にオペレータが補正
名刺管理ツールの利用者から聞かれる不満の多くが「OCRの読み取り精度」に関するものです。名刺に使われている書体や書式/デザイン/部署や役職名はまちまちで、人間でなければ区別が難しい部分は多く、精度はオペレータの手が入る方が断然高いといえます。
ただし、手作業が入るとコストは高くなりがちですし、正しい情報が反映されるまでにタイムラグが生じる場合もあります。個人向けではmyBridgeが無料でオペレータによる入力補助を提供しています。
★データ入力の精度で選ぶなら <法人向け> 全てOK <個人向け> Eight myBridge |
また、過去の蓄積も含め、名刺が大量にある場合は、自動送り装置のあるスキャナで取り込める方が便利です。枚数が多くなると一枚ずつ画面内の枠に合わせたり、白飛びしないように光の当たりを確認したりしながら撮影するのはなかなか骨が折れます。
現物の名刺を郵送したり、派遣スタッフに来社してもらったりなどして、スキャン作業を代行してくれるサービスもあります。
★取り込み作業代行で選ぶなら <法人向け> メイシー(個人でも利用可) |
4.使いやすさ/わかりやすさ
せっかく名刺管理ツールを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。特に会社の場合、担当者が意欲的に高性能・多機能な名刺管理ツールを導入しても、現場の社員がついていけない場合があります。社員のITリテラシーを考慮しつつ、必要な機能を備え、使いやすい/操作がわかりやすいツールを選定するのがカギだと言えます。また法人向け名刺管理ツールには、導入前後に、コンサルタントから運用サポートが受けられるものもあります。
★わかりやすさで選ぶなら <法人向け> アルテマブルー メイシー 名刺ファイリングCLOUD ★運用サポートで選ぶなら <法人向け> Sansan アルテマブルー ホットプロファイル |
5.セキュリティ
名刺には個人情報も含まれているので、情報が漏洩してしまうと多方面に迷惑がかかります。名刺管理ツールのベンダーにとってもセキュリティはサービスの根幹に関わる命綱であり、さまざまな対策が取られています。
ベンダーによって講じられている対策は、データ送受信時の暗号化やログイン認証の二重化、データを扱える端末をIPアドレスで制限できる機能の設置など。一般財団法人JIPDEC(日本情報経済社会推進協会)による「プライバシーマーク」や、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO27001/ISMS認証」を取得しているかどうかも1つの目安になります。
6.CRM/SFAとの連携(法人向け)
CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入している会社であれば、名刺管理ツールはそれらと連携できるものである必要があります。事前に、自社が導入しているCRM/SFAと連携できるかを確認することが大事です。
★CRM/SFAで選ぶなら <法人向け> アルテマブルー Eightの企業向けプレミアム ※Eightの企業向けプレミアムはCRM/SFAの機能が付加されている |
7.SNS的につながるか/つながらないか(個人向け)
名刺交換した人と積極的につながっていこうというSNS的な要素があるものと、シンプルに名刺情報の整理/管理機能に徹するものとに区別できます。どちらがいいかは、個人が名刺管理ツールに何を求めるかによります。
★SNS的機能が欲しいなら Eight Wantedly People ★名刺管理に徹したいなら myBridge Camcard 名刺ファイリングCLOUD |
8.外国語対応
海外との取引が多いのであれば、多言語対応の名刺管理ツールが便利です。英語であればほとんどのツールが対応していますが、欧州にはウムラウトやトレマ(äやà)が混じる言語も多いので注意が必要です。中国語・台湾語に非対応のアプリで繁体字/簡体字の名刺を撮影すると、OCRが勝手に似た常用漢字を当てたり、文字化けしたりするので修正が面倒になります。
★多言語対応で選ぶなら <法人向け> CAMCARD BUSINESS(17言語) Sansan(11言語) <個人向け> WANTEDLY PEOPLE(50言語以上) CAMCARD(17言語) |
まとめ
ある程度の規模の企業なら、Sansanは筆頭候補になるでしょう。高性能・多機能で行き届いたサポートと圧倒的なシェアは安心感があります。一方で「料金(特にイニシャルコスト)が高い」「機能が多すぎて使いこなせない」との声があるのも事実です。コスパを求めるならCAMCARD BUSINESS、社員への浸透を重視するならアルテマブルー、営業が主力の企業ならホットプロファイルが選択肢に入ります。
社員数の少ない企業なら、1名から契約できるメイシーか名刺ファイリングCLOUD、Eightの企業向けプレミアムを検討したいところです。メイシーは名刺をメール便で送れることが最大のウリなので、このサービスを使いたいか否かで決まるでしょう。Eightの企業向けプレミアムは個人向けのEightにCRM/SFAの機能が付加されており多機能。名刺ファイリングCLOUDは名刺管理機能に徹しているサービスです。
個人向けは名刺管理だけでいいならmyBridgeかEightがおすすめです。無料でありながら高性能なOCRとオペレータによる入力補助の組み合わせで読み取りが正確。枚数制限もありません。SNS的な使い方をしたいのならEight、名刺管理に徹したいならmyBridgeを選べばいいでしょう。
本記事で取り上げた10の名刺管理ツールはそれぞれアピールポイントがはっきりしています。名刺管理ツールをどのように使い、活かしたいかが明確なら、おのずと候補は絞られるのではないでしょうか。
文=渡辺一朗 編集=eon-net編集室