専門家が語る採用管理システムの選び方

採用管理システムを選定する際には、どのような評価軸で製品を比較すると良いのでしょうか。

人事・採用分野の専門家である株式会社人材研究所・代表取締役社長の曽和利光さんにお話をうかがいました。 

曽和利光プロフィール写真

株式会社人材研究所 代表取締役社長
曽和 利光さん

リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験、また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。
著書等:「人と組織のマネジメントバイアス」、「コミュ障のための面接戦略」、「人事と採用のセオリー」、「悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?人事のプロによる逆説のマネジメント」、「「ネットワーク採用」とは何か」、「知名度ゼロでも『この会社で働きたい』と思われる社長の採用ルール48」、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」

(1)システム内で採用業務のどこまで完結できるか

──採用管理システムの導入を検討する際には、どのような評価軸で製品を比較すればよいのでしょうか。 

採用管理システムは、以下の3つの軸で選ぶと良いでしょう。

【採用管理システム選定の3つの軸】 

採用管理システム選定の軸重視すべき企業
(1)システム内で採用業務のどこまで完結できるか ・大量採用を行っている企業
・複数の採用チャネルや人材紹介会社を経由して募集している企業
(2)システム内で採用データをどこまで分析できるか・採用決定率が低い企業
(3)紙帳票が出力できるか・経営陣や上長の決裁を取るときに紙の帳票が必要な企業

一つ目の軸は「システム内で採用業務のどこまで完結できるか」です。

これは、さらに、「採用関係のデータがシステム上で一元管理できるか」と「採用のどの業務をシステム上で行えるか」という視点に分類できます。

大量採用を行っている企業や、複数の採用チャネル・人材紹介会社を経由して募集している企業は、特にこの軸を重視すると良いでしょう。 

採用関係のデータがシステム上で一元管理できるか

まずは、「履歴書」「職務経歴書」「面接評定表」などの全てがシステム上で登録可能、かつ、デジタルデータとして完結しているかをチェックしましょう。データ全てがデジタル化されることで正確な分析が可能になります。 

数年前までの採用管理システムでは、システム上のメッセージ機能だとファイル添付ができず、別途でメール送信が必要といったことも珍しくありませんでした。そうなると、応募者への送信履歴をシステム上で追えず、データの一元管理ができなくなります。

また、システムが対応していない採用チャネルを自社で使っていた場合、そこからの応募は別対応になりデータの一元管理がしにくくなります。

採用のどの業務をシステム上で行えるか

採用業務のどの作業がシステム上で行えるかという視点も大切です。製品選定の際には以下の機能がシステムに備わっているかを確認しましょう。 

◆採用管理システムでチェックすべき機能◆

・応募者募集機能
┗広告出稿、人材紹介会社への連絡、求人票の作成などができるか

・シミュレーション機能
┗採用状況のモニタリングとシミュレーションができるか

・各種連絡機能
┗応募者や面接担当者とのコミュニケーション、ファイル添付、LINEやGoogleカレンダー対応などができるか

特にチェックしたいのは、「シミュレーション機能」と「各種連絡機能」の2つです。

シミュレーション機能は、事前に設定した計画値と取得した数値を比較して将来を予測する機能です。製品選定の際には、計画値などの指標を設定できるかと、取り込んだデータを自動で分析してシミュレーションできるかを確認してください。

各種連絡機能は、応募者に対してメールや書類送付などのやりとりを行ったり、社内の担当者間で情報を共有したりするための機能を指します。 

システム上でメールにファイルを添付して送信できるかや、面接日程の調整が可能かなどをチェックしましょう。その際、Microsoft365、Googleカレンダー、Slack、Chatworkなど、社内で既に運用しているツールとの連携も確認しておくと後で困らずにすみます。 

(2)システム内で採用データをどこまで分析できるか 

二つ目の軸は「システム内で採用データをどこまで分析できるか」です。 採用決定率が低い企業はこの軸を重視してください。

次に挙げたデータは採用プロセスの分析で必要になるので、取得できるかどうかを事前に確認しましょう。 

◆採用管理システムで取得したいデータ◆ 

・エントリー数と応募者数
・辞退者と不合格者の数
・途中辞退率
・各応募者とのコミュニケーション履歴(どの担当者がどの候補者にいつ何を連絡したのか)

特に「途中辞退率」は非常に重要な指標であるため、ぜひ取得しておきたいデータです。

応募者が自発的に断った「辞退者」と企業側が断った「不合格者」は、採用プロセスから脱落した応募者という点では同じであっても、全く性質が異なります。ですから、分析ではきっちり区別する必要があるのです。

このデータをきちんと区別して取得できるかどうかは、一つの選定基準になります。辞退率、進捗率などの指標が自動で計算されて、それを確認しながら採用計画の見直しを行う、といった作業がしやすい製品がベストです。 

採用決定率が低い企業は、採用プロセスの改善が必須であるのは明らかですから、分析機能が充実している製品を選ぶことをおすすめします。

(3)帳票類がどこまで紙で出力できるか

三つ目の軸は「帳票類がどこまで紙で出力できるか」です。

日常的に経営陣や上長の決裁を取るときに紙の帳票が必要な職場環境であれば、システムから帳票類が出力できることが必須です。逆に、デジタル化が進んでいて紙の帳票が不要な職場であれば、この項目は特に重視する必要はありません。 

導入企業20社に聞いた、利用している採用管理システムを比較

ここからは、曽和さんにお聞きした採用管理システム選びのポイントと、実際に採用管理システムを導入している企業20社に実施した調査結果をもとに、編集部でピックアップした製品を紹介していきます

【製品比較表】

 HRMOS採用リクナビ HRTech 採用管理ジョブカン採用管理採用一括かんりくんHERP Hire
料金 要問い合わせ 無料 ~12万円/月

※利用者数が1000人以下の場合。1000人を超える場合は要問い合わせ 
2万円~/月0円から利用可能。
採用規模に応じて見積もり
機能の網羅性 〇 △ △ △ 〇  
データ分析 △ △ △ 〇 〇 
帳票出力 〇 〇 〇 〇 〇 
※表内の〇△は編集部評価

機能の網羅性なら「HRMOS採用」

HRMOS採用のキャプチャ

 HRMOS採用の特徴】 

  • 面接の日程調整や人材紹介会社とのやりとりなど、採用に関する全ての業務がシステム内で完結
  • 応募者一人ひとりの、応募から入社までのデータを「タレントプール」として蓄積可能
  • 経歴、評価、連絡履歴のデータを候補者ごとにまとめられる
  • ビデオ会議ツール「Zoom」「Google Meet」との連携により、オンライン採用に対応
料金 要問い合わせ 
機能の網羅性 〇 
データ分析 △ 
帳票出力 〇 
運営会社株式会社ビズリーチ 
公式サイトhttps://hrmos.co/ats
※表内の〇△は編集部評価

【HRMOS採用の導入企業の口コミ、評価】 

【導入の背景】

Googleスプレッドシートによる採用情報管理から脱却するためにクラウド型の採用管理システムを検討し、HRMOS採用を導入しました。 

【おすすめポイント】

中途採用で利用していますが、選考プロセスの構築や、面談スケジュールとステータスの把握がしやすくなりました。

経歴、評価、連絡履歴が候補者ごとにひも付いていて見やすいです。人材紹介エージェントをよく利用する、募集している部署数が多い、現場を巻き込んだ採用活動をしている企業にはおすすめできると思います。 

【不満、要望】

レポートのアウトプット機能が弱く、レポート項目を自由にカスタマイズできない点は不満です。 

企業情報:デジタルマーケティング/〜100人規模

【導入の背景】

採用を強化している時期で、現場のメンバーも面接に関わることが多く、採用活動の一元管理が必要になったため採用管理システムを検討しました。

ビズリーチを使ったエージェント経由の採用も既に行っており、こういったアウトソーシング関連の作業もまとめて管理したかったことも導入の理由です。 

【おすすめポイント】

「HRMOS採用」のタレントプールを利用し、活躍する人材の特徴などをデータで可視化したことで採用の質が上がりました

また、採用に関する全ての業務が一元管理できるので、現場とのすり合わせの工数も減りましたね。採用管理全体の工数は約2分の1まで削減できています。

企業情報: ITサービス会社/〜100人規模

無料で利用したいなら「リクナビ HRTech 採用管理」 

リクナビhrtechのキャプチャ
出典:「リクナビ HRTech 採用管理」公式サイト(https://hrtech.rikunabi.com/ats/)

リクナビ HRTech 採用管理の特徴】 

  • 利用料が無料
  • 人材紹介エージェントごとの内定者数など簡易的な集計は行える
  • SNS連携、タレントプールなどの機能がない
  • リクルートの採用ノウハウを利用できる
料金 無料 
機能の網羅性 △ 
データ分析 △ 
帳票出力 〇 
運営会社株式会社リクルート 
公式サイトhttps://hrtech.rikunabi.com/ats/
※表内の〇△は編集部評価

リクナビ HRTech 採用管理の導入企業の口コミ、評価】  

株式会社エドリッジ(デジタルマーケティング/〜30人規模)

【導入の背景】

人材紹介エージェントから送られてくる候補者層のセグメントが適切かどうかを数値で可視化できることがリクナビ HRTech 採用管理にした決め手でした。

【おすすめポイント】

今まで手動で行っていたレジュメのファイル管理の工数が削減できたほか、採用の“歩留まり”を把握する作業も簡略化できました。複数エージェントからの情報を集約できますし、メールの一括送信も可能です。

エージェントごとの紹介数と紹介の精度が可視化されたことで、求める候補者をより正確に絞れるようになりました。また、簡易集計機能が付いているので、候補者データの管理が楽になったのも良かったです。 

【不満、要望】

エージェント経由の候補者と面接日を調整する際、エージェントから返信が来ているかどうかが管理画面ではわかりにくいです。フラグが出る、色が変わるなど通知がほしいです。

また、社内の特定の担当者とエージェントが個人でやり取りするのではなく、担当者全体に通知されるチャットルーム的なものがあれば便利だと思います。 

企業情報:株式会社エドリッジ

ジョブカンシリーズを利用中なら「ジョブカン採用管理

ジョブカン採用管理のキャプチャ
出典:「ジョブカン 採用管理」公式サイト(https://ats.jobcan.ne.jp/

 ジョブカン採用管理の特徴】 

  • LINEとの連携可能
  • タレントプール機能はなし
  • ジョブカンシリーズ製品との連携可能 
  • 30日間の無料トライアルが可能 
  • 毎月の応募者数に応じた料金設定のため、採用規模に合わせて使える 
料金 ~12万円/月 ※

※利用者数が1000人以下の場合。1000人を超える場合は要問い合わせ
機能の網羅性 △ 
データ分析 △ 
帳票出力 〇 
運営会社株式会社DONUTS
公式サイトhttps://ats.jobcan.ne.jp/ 
※表内の〇△は編集部評価

 ジョブカン採用管理の導入企業の口コミ、評価】  

【おすすめポイント】

 システム導入と同時にRPOサービス(※リクルートメント・プロセス・アウトソーシング:採用を外部企業に委託するサービス)も利用しています。

導入後は人材紹介エージェントからの紹介をジョブカンに集約して、採用アシスタントが連絡および日程調整をするという採用プロセスに変更しました。導入前に比べ、情報の集約およびスムーズなやり取りが可能になりました。 

【不満、要望】

 費用面はリーズナブルである反面、各種媒体との自動連携や分析などの機能面は他社の製品に劣ると感じています。ダッシュボードと分析機能が充実していて、求人設定がシンプルであればもっと使いやすいと思います。

企業情報: ITサービス/〜100人規模

必要な機能だけ使いたいなら「採用一括かんりくん」

採用一括管理くんのキャプチャ
出典:「採用一括かんりくん」公式サイト(https://www.career-cloud.asia/)

 採用一括かんりくんの特徴】 

  • 採用業務に合わせて必要な機能だけ使えるリーズナブルなプランがある
  • 評価分析、歩留まり分析ができる
  • SlackやChatworkに通知する機能あり
  • プランによってGoogleカレンダーなどとも連携可能
料金 2万円/月~ 
機能の網羅性 △ 
データ分析 〇 
帳票出力 〇 
運営会社HR クラウド株式会社 
公式サイトhttps://www.career-cloud.asia/
※表内の〇△は編集部評価

【採用一括かんりくんの導入企業の口コミ、評価】

【導入の背景】

別の採用管理システムを利用していましたが、管理項目が増えると表示に時間がかかるという問題がありました。またカスタマーセンターの対応にも不満があったので、「採用一括かんりくん」に切り替えました。 

【おすすめポイント】

メールの自動配信、面接枠の自動予約、アンケート、個人プロフィールのひも付け、面接記録の記載、資料の添付などができるので、導入前と比べて格段に応募者の管理がしやすくなりました。カスタマーセンターの対応が早い点にも満足しています。UIやUXもわかりやすいです。細かい設定ができるので、自社に合わせたカスタマイズが可能な点もおすすめです。 

【不満、要望】

外部連携機能は改善してほしいです。LINE連携や適性検査結果と連携できればシステムをもっと有効活用できると思います。 

企業情報:インターネット広告、メディア事業/400〜500人規模

求人媒体との連携重視なら「HERP Hire」

HERP Hireのキャプチャ
出典:「HERP Hire」公式サイト(https://herp.cloud/)

HERP Hireの特徴】 

  • 「doda Assist」「Findy」など複数の求人媒体と連携可能 
  • Slack、Chatwork、SmartHR、カオナビ、人事労務freeeなどと連携可能
  • 採用ダッシュボードはオプション
料金 0円から利用可能。採用規模に応じて見積もり
機能の網羅性 〇  
データ分析 〇 
帳票出力 〇 
運営会社株式会社HERP
公式サイトhttps://herp.cloud/
※表内の〇△は編集部評価

【導入の背景】

従業員数が増加する中で、新卒で1年以内に退職してしまう従業員数も増加しており、もっと企業に定着しやすい人材を確保したいと思うようになりました。さらに、コロナ禍のリモート面接の増加により、採用の判断が難しくなり、頭を悩ませていました。そこで、候補者に関する情報を管理しやすくし、整理しながら効率的に採用活動を実施する必要があると判断しました。どの段階まで採用活動が進んでいるか、どのような印象の人物かなどを、短時間で簡潔にまとめられて、余計な手間が省けると思い導入しました。

【おすすめポイント】

導入の決め手は、大勢の候補者の情報を上手く管理できる点です。異なる経路から応募してきた候補者情報から、本当に必要な情報を絞り込んで管理することができます。複数の採用サイトに情報を掲載しているため、異なる経路で候補者が面接等を申し込む中で、それぞれ入力されている情報にも多少の違いがあります。「学生時代頑張ったこと」など注目して目を通したい情報だけを集めて、同じようなフォームにまとめて管理できるので、同一の基準で候補者を判断しやすくなり助かりました。

【不満、要望】

運用してみて残念だったところは、候補者の登録数の増加により、アクセスに時間がかかるようになったことです。大勢の候補者情報の管理・比較がしやすくなったのですが、採用活動が本格化して候補者の登録数が増えるに従って、情報が表示されるまでに時間がかかり、画面が固まりそうになる事態が発生するようになりました。候補者の登録数が増えてもアクセス速度が変わらないように改善して欲しいと思いました。

企業情報:従業員数350人/人事、採用担当

回答日:2021年5月25日

採用管理システムの導入効果と具体的なメリットとは?

採用管理システムを導入する企業が増えている一方で、いまだにExcelのシートに記入して応募者の管理を行っている企業も少なくないのが実情です。

採用管理システムの導入によって、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。そしてExcel管理からのシフトが望ましいのはどういった企業なのでしょうか。

採用管理システムのサービス紹介ページだけでは把握しづらい部分も含めて、曽和さんにお話をうかがいました。 

【ポイント】 

  • データの自動同期やリアルタイム集計により、転記作業の工数が大幅に削減できる
  • ノンコア業務が効率化され、人事担当者はコア業務に注力できる
  • 人的なミスを減らせる
  • 採用状況を可視化できる
  • 面接担当者と情報の共有がしやすくなる

データの同期作業が自動化される

──採用管理システムを導入することでどのような効果が期待できますか。 

採用に関する業務のうち、システム導入の効果を最も実感しやすいのは、データの自動同期による転記作業の大幅な削減でしょう。

 例えば、応募者と面接を行った内容を紙の「面接評定表」に手書きで記入している企業は少なくないと思います。応募者データをExcelシートで管理しているなら、手書きした内容をシートに入力する手間が必要です。

さらに全てのデータを単一のシート上で一覧表示するのは難しいので、別々のシートに記載した上で、応募者にIDを割り当てて関連付けて管理するといったこともよく行われています。 こうした全ての作業を一つひとつ確認しながら手動で行うことになりますから、相当な手間と時間がかかります。

こうなると、応募者のデータ整理といった採用活動の「ノンコア業務」にリソースの大半を割かねばならず、本来は最も力を入れなければならない「コア業務」に手が回らないという本末転倒の状況が発生します。

 採用管理システムを使うことで、こういったノンコア作業にかける時間を一気に減らすことができます

人的なミスを減らせる

採用管理システムによってデータ入力・同期が自動化できれば、人的ミスを大幅に減らせるのも大きなメリットでしょう。

SPI試験の結果を手作業でExcelのシートに転記していたら、1行ずらしたままコピー&ペーストしてしまっていたというミスが発覚したケースも実際にあります。こういったミスは採用業務では致命的になりかねないため、入力ミスや転記ミスをなくすことは非常に重要です。 

リアルタイムで集計ができる

また、リアルタイムで集計ができるというのも大きな利点です。

採用管理システムを使えば、現時点の応募者数や合格者数、辞退者数がそれぞれ何人で辞退率が何%、などの情報が瞬時に把握できます

Excelならシートに計算式を入れてマクロを組んで、数値をその都度更新して…という作業が必要になりますが、採用管理システムなら常にリアルタイムで情報が更新されるのです。

数値で客観的に状況を把握して即座に必要な対策を講じる、このスピード感が採用においては非常に重要です。

新卒採用でも中途採用でもピーク時であれば、状況が刻々と変化しますから、報告の回数も増えるでしょう。しかし、手作業でデータを集計し資料を準備するとなると、それだけで相当な時間がかかることになります。募集最終日の午後9時に募集を締め切ってからデータをダウンロードしてExcelで加工して…となると深夜に及ぶ残業は必須です。

一方、採用管理システムならリアルタイムで集計されているので、すぐに状況がわかります。また、たいていの製品には「ダッシュボード」機能があり、現在の状況が可視化されるため、会議資料を作成する手間を省けるというメリットもあります。

面接担当者と情報の共有がしやすい

現場を巻き込んだ採用活動がしやすいことも利点です。採用活動を成功させるためには、エントリーシート、試験結果などの情報共有や面接の日程調整など面接担当者との密な連携が欠かせません。

従来は、その都度プリントアウトしたり、メール添付したりするなどの方法で担当者に資料を渡していましたが、採用管理システムを使っていれば、ログインするだけで即座に資料を確認できるようになります。 

面接終了後には、面接担当者が評定をシステムに直接入力すれば、やりとりに時間と手間はかかりません。 

採用管理システムの本質は「工数削減」ではない

採用管理システム導入で得られるメリットは、担当者の作業負担が減り、工数削減につながるということだけではありません。

採用管理システム導入がもたらす本質的な価値について、曽和さんにさらに詳しく聞いてみました。 

【ポイント】 

  • 採用管理システムの本質はモニタリングとシミュレーション
  • 採用プロセスにおける課題の所在を明確にし改善が図れる
  • 途中辞退者の減少や、広告費・人件費の削減が見込める

採用目標の達成確率が高まる

──採用管理システムを導入することで、工数の削減以外にどのような効果が期待できるのでしょうか。 

企業が採用管理システムを使うべき理由の一つは、「このまま現在の採用計画を続けていたらどうなるかをシミュレーションできる」ということです。 

事前に設定した採用計画値(採用目標数)と実際の数値とを比較してシミュレーションすることで、現在の採用活動が順調であるかどうかがわかります。

順調でないとしたら、それは応募者数が少ないのか、応募者数は計画通りだが合格者が少ないのか、または辞退率が高いのかなど、問題がどのプロセスのどの時点で起こっているのかを突き止めやすくなります

広告費と人件費を削減できる

もう一つの理由として、「広告費と人件費の削減効果が見込める」ということがあります。 

──例えば、社員数100人規模の企業が採用管理システムを導入した場合に、広告費や人件費をどのくらい削減できるのでしょうか。 

ざっくりした試算ですが、年間40~50人程度採用する企業で人件費を最大30万円程度、広告費も数十万円程度削減できる可能性があります。

根拠は2つです。一つは途中辞退者の減少による広告費削減。もう一つは業務効率化による人件費削減です。 

採用活動において何より重要なのは「採用プロセスの途中で離脱する応募者、つまり途中辞退者を出さないこと」であると考えられます。応募から内定までの期間が⾧すぎると、優秀な応募者ほど途中で離脱する傾向があります。内定まで1カ月以上かかっているなら遅すぎです。 

採用管理システムを導入すれば、採用業務のスピードアップが見込めます。これは、担当者の作業負担を減らせるほか、応募者の辞退率を下げられるという非常に大きなメリットがあります。

例えば、60%あった辞退率を50%に下げられれば、それだけ優秀な人材を採用できる可能性が高まります。さらに、採用者数が決まっているなら、内定者の辞退率が下がれば、応募者の総数が少なくても目標の採用数を確保できます。

広告費削減のキャプチャ

全ての応募者を広告によって獲得しているという前提なら、応募者数を減らしても採用数を確保できれば、広告費も削減可能です。

──人件費の削減はどのような理由でしょうか。

一般的な採用担当者の業務の内訳は、採用に関わるコア業務が2割、転記・集計作業や日程調整などのノンコア業務が8割と言われています。採用管理システム導入によって、この8割分のノンコア業務はほとんどなくなると考えて良いでしょう。 

例えば、年間数十名を採用している規模の企業の場合、大体の現場感覚で言いますと、1人を採用するのに新卒で50~100倍、中途でも10倍~数十倍の応募者が必要です。つまり5人採用しようとするのであれば、新卒なら500人の応募が必要で、その分の事務作業が発生するわけです。

500人分のデータを扱うのに毎日2時間程度の事務業務が発生すると仮定します。正社員、派遣社員どちらにしても1日2時間だけ雇用するのは現実的ではないので、帳票作成など他の業務も含めてフルタイムで業務に当たってもらうと想定します。

つまり、この1日2時間程度の採用関連事務作業が採用管理システムの導入でなくなれば、1カ月当たり1人分発生している事務系業務を「ゼロ」にできる可能性があるわけです。例えば、派遣社員1人に対して支払うコストがおよそ月20~30万円だとすれば、それが「ゼロ」になるという試算です。

フルタイムの正社員が作業に当たる場合も考えてみましょう。平均的な企業で1人の採用担当者が年間にこなせる採用人数は20人程度だと言われています。つまり、年間40人採用するのであれば、1カ月当たり2人のフルタイム勤務が必要になるという計算です。

この場合も、採用管理システムの導入でノンコア業務が減り、1カ月当たり1人のフルタイム勤務で十分となれば、その分の人件費をコア業務の強化に回せます。そう考えればシステム導入の費用対効果は悪くないはずです。

人件費削減のキャプチャ

採用管理システムの導入を検討する目的は、業務効率化やコスト削減という場合がほとんどでしょう。もちろん、効率化は重要ですが、それだけなら安価な製品でも実現できます。

しかし、採用活動そのものを成功させるために、分析や予測などの機能を駆使して最大限に採用管理システムを活用したいのであれば、ある程度費用が発生したとしても、本質的な効果が期待できるような機能を備えた製品を選ぶことをおすすめします。

 採用管理システムを導入すると効果が出やすい企業

さまざまなメリットがある採用管理システムですが、導入後に思うような効果が得られずに解約してしまう企業もあります。

導入して成果が得られる企業と、そうでない企業の違いはどこにあるのでしょうか?

【ポイント】

  • 採用のスピードが遅いと途中辞退率が高くなる 
  • 応募から2~3週間以内に採用の可否が決定できていない場合はスピードアップ必須 
  • 企業の人気や採用担当の技量はすぐにコントロールできないが、採用プロセスのスピードはシステム導入により改善できる 
  • 採用管理システムを十分に活用するためには明確な採用計画が不可欠 
  • 明確な計画がないとシミュレーションや分析ができず、施策に反映できない

候補者の滞留が発生し辞退率が高くなってしまっている企業

──どのような課題を抱えている企業だと、採用管理システムの導入効果が大きいのでしょうか。 

まず応募から内定までのプロセスに1カ月以上かかっているようなら、何らかの採用管理システムの導入を積極的に検討しましょう。

先に説明したとおり、応募から内定までの期間が⾧いと途中辞退者が増加する傾向にあり、広告費や人件費の増大の要因となります。 

自社の人気や知名度をアップさせたり、採用担当者の技量を向上させたりなどの施策はすぐに実現できるわけではありません。しかし、採用プロセスのスピードアップなら短期間で改善が可能です。また、採用管理システムを導入したほうが、採用業務担当者を増やすより全体のコストを抑えやすくなります。 

明確な採用計画が立てられている企業

採用に関する計画がきちんと立てられている企業も、採用管理システムのポテンシャルを最大限に生かし、結果を出せる可能性が高いでしょう。

その逆に、明確な採用計画が立てられていない企業ではせっかくのシステムを十分に使いこなせないまま挫折してしまいかねません。 

ここで言う「採用計画」とは、「こうなってほしい」という最終理想形のことではなく、募集する媒体、目標とする応募者数、募集スケジュール、応募者への対応などのことを指します。この採用計画が明確になっていないと、「滞留」が起こった際に原因の所在がはっきりしないため改善が遅れ、応募者の途中辞退につながりやすくなります

また、原因の所在が把握できても、そもそもの計画値が存在しなければ比較と分析は成立しません。自社の採用活動を評価し改善するには、日単位、週単位で計画を立てて、実数を把握し計画と比較することが必要なのです。

 まとめ 

採用管理システムは、採用に関する業務の効率化を当面の目的として導入されることがほとんどですが、実のところシステムの本質的な価値は、自社の採用状況を可視化して改善できる点にあると言えます。

 応募者への対応漏れや情報共有不足など、自社の採用業務に改善の余地があると感じているなら、今回紹介した選び方を参考に製品を選定し、導入を検討してみてはいかがでしょうか。資料請求や無料トライアル期間を利用して、気になる製品の使用感や、自社の採用プロセスとの相性を確認するとよいでしょう。 

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