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【この記事に登場する有識者】
ワークフロー総研所長 兼 株式会社エイトレッド代表取締役社長
岡本 康広さん

1994年株式会社ソフトクリエイトに入社。 2018年株式会社ソフトクリエイトホールディングスがM&Aした株式会社エートゥジェイの代表取締役副社長に就任。2019年6月に株式会社エイトレッド代表取締役社長に就任。 2020年4月より、ワークフローの認知・理解向上、そして業務課題とワークフローを紐付けて業務改革や生産性向上に貢献することを目的に「ワークフロー総研」を立ち上げ、所長を兼務。これまでシステムエンジニア、営業、事業企画、マーケティング、新規事業など幅広い経験を積み、現在は経営に力をそそいでいる。 「ワークフロー総研」サイトはこちら

専門家が語るワークフローシステム選びの3大ポイント

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──ワークフローシステムを導入する際には、何を基準に選んだらよいのでしょうか?

ワークフローシステムは、会計ソフトのように使用者が限られるものではなく、全社的に展開し、定着させることで効果が生まれます。そのため、導入を検討する際はそのシステムを自社の仕組みにどこまで適応させられるかがポイントです。

製品選定の際には、以下のポイントを確認しましょう。

 【製品選びのチェックポイント】

  1. ノーコード・ローコードであるか
  2. 入力フォームのカスタマイズ性
  3. 承認ルートのカスタマイズ性・再現性

チェックポイント1:ノーコード・ローコードである

要チェック企業
□システム担当者がおらず、現場のメンバーで導入・運用を図る企業

製品選びでは、そのワークフローシステムが、「ノーコード・ローコード」であることがとても重要です。

「ノーコード」とは、システム設定などにおいて、プログラミング言語によるコード入力が不要な仕組みのことです。もう一方の「ローコード」は、多少のコードが書ける仕様になっており、ノーコードより設定の自由度が高くなります。

オフィスワークのDX化製品は、多機能さをひとつのセールスポイントにしていますが、それらの機能のなかにプログラムを記述しないと使えないものが少なからずあります。

システム担当者がいない企業では、せっかくシステムを導入しても、使いたい機能がうまく使えないというケースがしばしば見られます。

そのため、自社で使いたい機能がノーコードで設定できるかを事前に確認しておくことが重要です。

チェックポイント2:入力フォームのカスタマイズ性

要チェック企業
□ITリテラシーの低いメンバーが少なくない企業
□各種承認手続きを長年にわたって紙で行ってきた企業

ワークフローシステムの入力フォームを、自社で使ってきた書式と同じにできるかどうかも大事なポイントです。

すでにITツールの利用に慣れている若い世代の従業員が大半を占める企業、あるいはスタートアップなどは、この点にあまり慎重になる必要はないかもしれません。

しかし、例えば紙による申請・決裁に長年慣れ親しんできたベテラン社員には、そもそもデータ入力にすら抵抗感を覚える方が少なくありません。入力する項目が同じでも、その書式、配置が従来の方式と異なるだけで「自分には使いこなせない」とあきらめてしまう方もいます。

ワークフローシステムは、全社的に利用が普及してこそ導入メリットが得られるツールです。そのためには、いかに自社が利用しやすいようにカスタマイズできるかが重要です。

チェックポイント3:承認ルートのカスタマイズ性・再現性

要チェック企業
□承認ルートが常に一定ではない企業
□承認ルートが不規則に変化する部署がある企業

承認ルート(レポートライン)は、どの企業も同じというわけではありません。各企業の事情に応じて、承認ルートをカスタマイズしたり、従来のものを再現できるかも大事なポイントです。

ワークフローの承認ルートが常に定まっている場合は、システムのカスタマイズ性・再現性をさほど気にかける必要はありません。

しかし、ある案件については通常の承認ルート上にいない人物を承認者に設定しなければならない、承認ルートが案件によって異なる部署がある、同じステップに承認者が複数いる、などといった場合は、承認ルートを柔軟にカスタマイズできるかどうかが重要です。

もし、現行の承認ルートでシステム上に再現できない部分があれば、紙やエクセルで処理する必要が出てきます。また、そのようなケースが多ければ、ワークフローシステムの導入によって効率化を図る意義が薄れてしまいます。

ワークフローの整備には、コーポレートガバナンスを担保する意義もあります。システムに設定できない承認ルートがあると、その部分がガバナンスから漏れ落ちるリスクも出てくるため、見落とせないポイントです。

また、会計ソフトなどにオプション設定されているワークフローシステムの場合、このカスタマイズ性が低い製品もありますので、その点も留意してください。

ワークフローシステムおすすめ10製品を徹底比較

ではここで実際の製品を一気にご紹介したいところですが、まずは代表的な5製品について、岡本さんが指摘したチェックポイントを軸に見てみましょう。

【代表的な5製品】

X-point CloudSmartDBジョブカンワークフローcollaboflowkickflow
ノーコード・ローコード対応
入力フォームのカスタマイズ性
承認ルートのカスタマイズ性
初期費用なし要問い合わせなしなしなし
料金(月額)550円/1ユーザー要問い合わせ330円/1ユーザー550円/1ユーザー要問合せ
無料トライアルありありありありあり
※料金は全て税込
※〇△は編集部評価
<入力フォームのカスタマイズ性>
◯:配置やデザインもカスタマイズ可能
△:説明と入力方法、回答必須の有無のみ
承認ルートのカスタマイズ性>
◯:ルートの事前変更、予約設定も可能
△:ルートの事前変更、予約設定ができない

代表的な5製品はおおむねクリアしていますね。では、もう少し細かく見ていきましょう。

入力フォームのカスタマイズ性なら「X-point Cloud」

X-point Cloudキャプチャ
出典:「X-point Cloud」公式サイト https://www.atled.jp/xpoint_cloud/
X-point Cloud
公式サイト https://www.atled.jp/xpoint_cloud/
運営会社 株式会社エイトレッド

【利用料金】

スタンダードプランプリペイドプラン
初期費用0円0円
月額費用550円/1ユーザー(月額払い)523円/1ユーザー×12(年額一括前払い)
契約期間1ヶ月~12カ月~
※料金は全て税込 
※無料トライアルでは30日間デモサイト体験も可

【製品の特徴】

  • 複雑な承認ルートを設定でき、閲覧権限のコントロールも可能
  • ノーコードで従来使用していた紙の申請書イメージを、Webフォームで再現できる
  • 入力データの集計が可能で、業務の活用に強い

【おすすめ企業】

  • 各種申請を紙の書類で行っていて、ITリテラシーの低い利用者が多い企業
  • 案件によって特定の承認者を加える必要がある、あるいは、承認ルートが変わる企業
CHECK
1000種類以上のテンプレートに加え、入力フォームを自由に作成できるので、使い慣れた紙の申請書と同じ体裁にカスタマイズできます。画面上のアイコンメニューから必要な項目を選び、ドラッグ&ドロップで作成していけるので、プログラミングの知識は不要です。
X-point Cloud画面キャプチャ
出典:「X-point Cloud」公式サイト https://www.atled.jp/xpoint_cloud/

また、承認機能が充実しています。「一括承認」や「連続承認」はもちろん、承認ルートの変更予約や、複雑な承認ルートの設定もでき、閲覧権限もコントロールできます。

スマートフォンにも対応しているので、外出先や出張先でも申請・承認が可能です。「代理承認」機能を使用することで、承認者が休暇や会議ですぐに承認できない場合も、申請の遅延・停滞を防げます。

申請された内容は様々な業務を意識してデータ化されており、申請内容の傾向を見る集計機能や、データを関連付けて派生する業務への自動申請など、社内全体の業務効率化を実現します。

紙の申請ルートの再現性が高く、Microsoft 365との連携も可能「SmartDB」

SmartDBキャプチャ
出典:「SmartDB」公式サイト https://hibiki.dreamarts.co.jp/smartdb/
SmartDB
公式サイト https://hibiki.dreamarts.co.jp/smartdb/
運営会社 株式会社ドリーム・アーツ

【利用料金】

要問い合わせ
無料トライアル:30日間

【製品の特徴】

  • 1000名以上の大企業にも対応できるシステムの柔軟性とセキュリティ
  • さまざまな業務の流れを簡単にデジタル化
  • Microsoft 365との連携が可能で、シングルサインオンで「SmartDB」にアクセス
  • 「Teams」との連携により時間や場所を選ばなず効率的な働き方が可能に

【おすすめ企業】

  • 他システム連携などの連携の柔軟さ、セキュリティ面を重視する大企業
  • Microsoft 365を利用している企業
  • 紙で行っていた複雑な申請ルートの再現度を重視したい企業
CHECK
外部連携が強みで、他社SaaS連携が可能。社内の既存システムとの連携により、セキュリティと利便性を両立しながらあらゆる業務プロセスとデータの一元管理ができます。

Microsoft 365と連携するとシングルサインオンが可能に。また、フォームにExcelデータをそのまま取り込めるので、フォームの入力負荷も削減できます。

さらに、「Teams」と連携すればワークフローでの承認依頼・更新通知など、いままでメールなどで受け取っていた埋もれがちな業務を「Teams」上で受信できます。

Microsoft 365を利用している企業にとっては現場業務の効率化がかなうでしょう。

SmartDBの外部連携
出典:「SmartDB」公式サイト https://hibiki.dreamarts.co.jp/smartdb/

複雑な稟議・決裁などの承認ルートも簡単に実現できます。複数部門による並列承認、条件分岐、さらに別のワークフローへの連携も可能です。

並列認証
出典:「SmartDB」公式サイト https://hibiki.dreamarts.co.jp/smartdb/

また、突発的なルート変更が発生した場合も、紙の申請書のようにその場で担当者が回付先を変更できます。

ジョブカンシリーズを利用中なら「ジョブカンワークフロー」

ジョブカンワークフローキャプチャ
出典:「ジョブカン ワークフロー」公式サイト https://wf.jobcan.ne.jp/
ジョブカンワークフロー
公式サイト https://wf.jobcan.ne.jp/
運営会社 株式会社 Donuts

【利用料金】

初期費用:0円
小規模・中規模企業(従業員500人未満):月額330円/ユーザー
大企業(従業員500人以上):要問合せ
無料トライアル:60日間
※料金は全て税込

【製品の特徴】

  • 50種類以上のテンプレートをもとに、独自の入力フォームを作成できる
  • 過去の申請履歴を利用者が一覧できる
  • 同シリーズのシステムとの連携がスムーズ

【おすすめ企業】

  • ワークフローが整備されていない企業やスタートアップ
  • 承認ルートが全社でほぼ定型化している企業
  • ジョブカンシリーズをすでに利用している企業
CHECK
50を超える申請書類のテンプレートが用意されています。多彩な設定項目の中から必要なものを選択して、フォームを作成できます。ただし、カスタマイズ性はやや低く、自社独自の書式をそのままの形では入力フォームに再現しきれないことも。

承認ルートは数に上限がなく設定できます。ただし、既存の承認ルートに臨時に承認者を加えたりできるほどの柔軟さはありません。そのため、承認ルートがあまり複雑ではない企業や、ワークフローをこれから整えていきたいという企業に向いています。

また、すでにジョブカンシリーズの製品を利用している場合は、連携がスムーズに行えるでしょう。

Excelからフォーム作成ができる「collaboflow」

collaboflowキャプチャ
出典:「collaboflow」公式サイト https://www.collabo-style.co.jp/
collaboflow
公式サイト https://www.collabo-style.co.jp/
運営会社 株式会社 コラボスタイル

【利用料金】

初期費用:0円
月額払い:550円/1ユーザー
年額払い:6468円/1ユーザー
無料トライアル:30日間/オンラインデモやオンラインセミナーの参加も可
※料金は全て税込

【製品の特徴】

  • Excelで作成した申請書や帳票を、そのまま入力フォームに変換できる
  • 承認ルートの設定画面が視覚的にわかりやすく、操作も簡単
  • 経費精算や人事考課表の運用にも対応

【おすすめ企業】

  • Excelベースのワークフローが定着している企業
  • 多様な帳票類を運用している企業
CHECK
Excelの書式をそのまま入力フォームに使えるのが大きな特徴です。

すでにExcelベースでワークフローを展開してきた企業は、スムーズに移行できます。
「一括承認」のほか「代理申請・承認」機能もあります。また、特定の管理者による承認ばかりではなく、メンバーの半数や1/3以上など、一定数の承認を条件に設定する「議決承認」の機能も備えています

承認ルートの設定画面は、チャート図にアイコンを落とし込んでいく形なのでわかりやすく、直感的に操作できます。

collaboflow画面キャプチャ
出典:「collaboflow」公式サイト https://www.collabo-style.co.jp/

一般には製品が別立てになる経費精算や人事考課表の機能がワークフローシステムに組み込まれており、経費の申請・承認や人事考課の進捗を管理できるのも特色です。

API連携が充実している「kickflow

kickflowキャプチャ
出典:「kickflow」公式サイト https://kickflow.com/
kickflow
公式サイト https://kickflow.com/
運営会社 株式会社kickflow

【利用料金】

初期費用:0円
スモール/スタンダード/エンタープライズ:1ユーザー×月額料金
※詳細な金額は要問い合わせ
無料トライアル:30日間

【製品の特徴】

  • 申請・承認の基本機能がシンプルで操作しやすい
  • 承認ルートの設定機能が独立しており、柔軟性な設定が可能
  • ビジネスチャットツールやグループウェアとの連携が充実

【おすすめ企業】

  • おもに稟議書の申請・承認業務をシステムに導入したい企業
  • 承認ルートが複雑化している企業
  • リモートワークの従業員が多い企業
CHECK
入力フォームは、説明文、入力方法、回答必須項目の有無を組み合わせるだけで、簡単に作成できます。カスタマイズ性は高くありませんが、機能がシンプルなので、初めてでも設定しやすいシステムです。

 

承認ルートは、独立して管理する仕組みになっているので、一度設定した承認ルートを、どのワークフローにも再利用できます。上長による承認のみならず、特定のユーザーやチーム、役職による承認、あるいは申請者に承認者を指名させるなど、柔軟に設定ができます。さらに複数部署の承認が必要な申請を、同時並行して進めることもできます。

また、「Slack」「Chatwork」「Microsoft Teams」などの外部システムとAPI連携が可能です。承認作業をより効率的に進めることができるようになります。

日本語・英語・中国語が自在に使える「楽々WorkflowⅡ」

楽々WorkflowⅡキャプチャ
出典:「楽々WorkflowⅡ Cloud」公式サイト https://www.sei-info.co.jp/workflow/
楽々WorkflowⅡ Cloud
公式サイト https://www.sei-info.co.jp/workflow/
運営会社 住友電工情報システム株式会社

【利用料金】

初期費用:5万5000円
月額:1万1000円+550円/ユーザー(詳細は問い合わせ)
※料金は全て税込

【製品の特徴】

  • グローバル対応。海外拠点のある企業におすすめ
  • 「中国語で申請→日本語で承認→英語で回覧」も可能
  • クラウド版のほか、パッケージ型「楽々WorkflowⅡ」もある

紙の申請・決裁イメージをそのまま電子化「Create!Webフロー」

Create! Webフローキャプチャ
出典:「Create! Webフロー」公式サイト https://www.createwebflow.jp/
Create! Webフロー
公式サイト https://www.createwebflow.jp/
運営会社 インフォテック株式会社

【利用料金】

初期費用:0円
月額払い:550円/ユーザー
年額払い:6050円/ユーザー
※その他、オプション多数
※料金は全て税込

【製品の特徴】

  • 紙イメージの申請書なのでわかりやすい
  • 決済されたらPDFで自動保管
  • 条件分岐によって承認者を自動判定できる

Google Workspaceとの連携が抜群!「rakumo ワークフロー」

rakumo ワークフローキャプチャ
出典:「rakumoワークフロー」公式サイト https://rakumo.com/product/gsuite/workflow/
rakumoワークフロー
公式サイト https://rakumo.com/product/gsuite/workflow/
運営会社 rakumo株式会社

【利用料金】

初期費用:0円
月額330円/ユーザー(年額3600円/ユーザー)
経費、勤怠などの管理を追加したサービスパックは月額390円~/ユーザー
※料金は全て税込

【製品の特徴】

  • Google Workspace のアドオンツール群。データ連携が容易
  • 数十人~数万人まで対応
  • 経費、勤怠などの管理ツールの追加で様々な処理がスムーズに

ExcelやWordのイメージで楽に申請書作成できる「Styleflow」

Styleflowキャプチャ
出典:「Styleflow」公式サイト https://www.tdc.co.jp/product/styleflow/
Styleflow
公式サイト https://www.tdc.co.jp/product/styleflow/
運営会社 TDCソフト株式会社

【利用料金】

初期費用:0円
月額330円/ユーザー
※料金は全て税込

【製品の特徴】

  • ExcelやWordで作成した申請書フォーマットと同じ画面イメージで変換できる
  • モバイルワークに適した使いやすいシンプルデザイン
  • 同時期に申請する書類を一括作成できる機能がある

低価格・シンプルでスマホ対応も。中小企業向きの「承認Time」

承認Timeキャプチャ
出典:「承認Time」公式サイト https://shonintime.sbi-bs.co.jp/
承認Time
公式サイト https://shonintime.sbi-bs.co.jp/
運営会社 SBIビジネス・ソリューションズ株式会社

【利用料金】

初期費用0円
月額3300円 ※10ユーザー(ID)単位、添付ファイル基本10GB込み
※料金は全て税込

【製品の特徴】

  • スマートフォン、マルチOS対応で場所を選ばず申請・承認が可能
  • マウス操作だけでかんたんに文書フォームを作成
  • 「経費BankII」と連携。経費精算の自動チェックができる

ワークフローシステムの導入に失敗しないためのポイント

──ワークフローシステムを導入するにあたって、注意するべきポイントはありますか?

ポイントは以下の4つです。

  1. 事前に承認フロー、職務権限規程を決めておく
  2. 申請者、承認者、主管部門、システム管理者、4つの視点に立って選定する
  3. 部署または申請単位のスモールスタートで導入する
  4. . 無料トライアルを利用する

ポイント1:事前に承認フロー、職務権限規程を決めておく

承認フローと承認者の職務権限が明らかになっていないと、ワークフローシステムを導入してもうまく運用できません

そもそもワークフローは「誰が何を起案(申請)し、誰がそれを確認(承認)し、誰が最終の意思決定(決裁)を下すのか」という一連の流れを、企業内で制度化したものです。定められた手順で展開し、承認者・決裁者には役職に相応する権限が付与されています。

しかし、その承認フローや承認者の権限が不明確だと、ワークフローシステムを導入しても設定のしようがありません。

また、システムに合わせてそれらを明確化しようとすると、企業風土や従来の慣習になじまず、運用がうまくいかずに挫折してしまうことも多々あります。

ポイント2:申請者、承認者、主管部門、システム管理者、4つの視点に立って選定する

システムの選定にあたっては、申請者、承認者、主管部門、システム管理者、4つの視点に立って検討を重ねることが大事です。

申請者にとって重要なのは、入力のしやすさであり、承認ルートのわかりやすさでしょう。承認者の立場からすると、申請書の内容を検索しやすければ、優先順位がつけやすく、スピーディーに承認が下せます。同様に、経理や人事などの主管部門にとっての重要な機能や好ましい仕様は、それらとまた異なるはずです。

ですから、システム運用の担当者の意見だけで製品を選ぼうとすると、導入のしやすさや管理機能ばかりに意識がいってしまい、異なる立場の人たちへの配慮がおろそかになりがちです。

これも、ワークスローシステムを導入しても定着しない原因になります。

ポイント3:部署または申請単位のスモールスタートで導入する

ワークフローは、スモールスタートで始めることがとても大事です。特に、これからDX化を進めようという企業には、ぜひは意識してほしいポイントです。

ワークフローシステムの導入当初に、利用要領などでつまずくと、使いたがらない人が増え、なかなか定着しません。運用を途中で辞めてしまう会社も出てきます。

初めに小規模な成功モデルをつくり、部門全体、社内全体へと少しずつ広げていくことが、実はワークフローを定着させるのに有効な方策です。まずは、物品購入の申請、経費精算、外注契約など、重要な業務に限定して始めてみるのもよいでしょう。

ワークフローシステムは、人事や会計システムのように限られた担当者が使うものではなく、全ての従業員が利用するもの。導入はスモールスタートで、「小さく生んで大きく育てる」発想で取り組みましょう。

ポイント4:無料トライアルを利用する

ワークフローシステムを本格的に導入する前に、実際に製品を使ってみましょう。

実際に製品に触れてみなければわからないことはたくさんあります。例えば、ノーコード・ローコードで設定しやすいと説明されても、実際に使ってみるとそうでもなかったということは少なくありません。

システム担当者が良かれと思って行った設定も、現場の社員に不評であれば、工夫や修正をしなければなりません。

クラウドで利用できるワークフローシステム製品のほとんどは、30日間程度の無料トライアル期間が設けられています。これを存分に活用しましょう。

ワークフローシステムを導入する目的・メリット

──そもそも企業がワークフローシステムを導入する目的は何なのでしょうか? また、導入することで得られるメリットを教えてください。

ワークフローシステムを導入していない企業が抱える課題や悩みを整理したものが下図になります。

【企業が抱えるワークフローの業務課題】

企業が抱えるワークフローの業務課題
(作成:ワークフロー総研)

これらを解決することがワークフローシステムを導入する目的であり、次の4つのメリットにつながります。

【ワークフローの導入メリット】

  1. 意思決定スピードの迅速化
  2. バックオフィス業務の効率化
  3. 内部統制とコンプライアンスの実現
  4. コストと無駄の削減

意思決定スピードの迅速化

申請の決裁は、経営の意思決定です。ワークフローシステムは、その意思決定のスピードを各段に引き上げます

旧来の紙での運用では、申請はしたもののいつ決裁が下りるのか、承認の進捗状況がどうなっているのかがわからないまま待ち続けるのが当たり前でした。

しかし、システムを運用すれば、申請書の入力・提出も手間いらず。申請書の提出先に迷うことなく、提出した申請書の所在も追跡できます。一方の承認者も、書類を溜め込むことなく処理できます。

ほとんどのシステムはスマホに対応しているので、申請・承認に場所も時間も選びません。

意思決定スピードの迅速化はすなわち、事業や経営上の課題に素早く対処できるようになるということです。戦略的経営に、迅速な意思決定は必須です。

バックオフィス業務の効率化

ワークフローシステムが求められている背景には、バックオフィスの業務が煩瑣で、非効率化している実態が挙げられます。

承認ルートが不明で案件の進行や書類の処理が止まる。その書類の書式もどれが正式で最新のものかわからず混乱する。経費精算書や稟議書の数字の確認に忙殺される。

ワークフローシステムの運用で、そういった非効率な業務が改善されます。申請書の記入ミスによる差し戻しもなくなるでしょう。

ノンコア業務から解放され、本来の経営的視点で業務に取り組める余裕と体制が生まれます

内部統制とコンプライアンスの実現

ワークフローシステムの運用により、内部統制が強化され、コンプライアンスのレベルが高まります。

先述したように、ワークフローは明確なルールに則って運用・管理されるものであり、それを支援するのがワークフローシステムだからです。

DXツールは、不正を防ぐ、正しい手順を踏ませるだけではなく、その利用が日常化することにより、従業員にコンプライアンスに対する意識が芽生えます。

内部統制とコンプライアンスは、企業の社会的な信用にかかわるものです。その質を高めるワークフローの整備と運用は、経営への影響が非常に大きと言えます。

コストと無駄の削減

わかりやすいのはペーパーレス化による効果です。

拠点が複数に分散している場合であれば、通信費・輸送費がなくなります。書類の保管場所も大幅に縮小できますし、それらに伴う人件費も削減されます。

また、ワークフローが整理されることにより、見えにくかったコストに目が向くことも大きなメリットでしょう。

例えば、年間契約で自動引き落としになっている経費など、これまで申請を要さなかった費用も、ワークフローシステムを通すことで無駄であったことが発覚するケースがあります。

このように、ワークフローシステムの運用は、従業員のコスト意識の向上にも貢献します。

まとめ

業務の流れに必要な手続きを、迅速かつ円滑に行うワークフローシステム。その導入は、企業の経営力の強化や、社会的な信用とも深くかかわります。

ワークフローの導入と運用は、企業にとっての土台づくりの1つと言えます。

製品選びで大切なのは、事前に承認フローと、承認者の職務権限を明確にしておくこと、使い手の立場と視線で検討することです。導入はスモールスタートで、徐々に範囲を広げ、定着させていく工夫が大切です。

この記事で紹介した製品は、どれも無料トライアルが可能です。まずは実際に使い勝手を確認し、自社が抱える課題をもっともうまく解決してくれる製品を選択しましょう。

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