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コラボワークス COLLABOWORKS 代表
中村 龍太さん

1964年広島県生まれ。日大生産工学部卒。1986年日本電気に入社、1997年マイクロソフト(現日本マイクロソフト)に転職し多数の新規事業の立ち上げに従事。2013年、ソフトウェア会社のサイボウズとコンサルティング会社のダンクソフトに同時転職し複業ライフを開始する。2015年には農業ベンチャー企業「NKアグリ」の提携社員として就農。さらにアウトドアブランド「スノーピーク」関連会社のプロジェクトに参加中の2016年には「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会(第1回)」に出席し4社兼業の実態について説明する。
現在も複数の仕事を組み合わせて働く“ポートフォリオワーカー”として活躍中。著書に「多様な自分を生きる働き方 COLLABOWORKS」、2021年7月下旬には、専業サラリーマンで挫折を不安に思う方に、心配することないと示唆をする本を発売予定。

専門家が勧めるグループウェアの選び方

グループウェアといっても、さまざま製品がリリースされています。製品選びの視点や比較軸について、中村さんにお話を聞きました。

「共有性」と「協働性」で比較する

――グループウェアはどのような軸で選ぶとよいのでしょうか?

グループウェアは情報共有のためのツールです。情報共有がどのような形で実現されるかという視点で考えた場合、「共有性」と「協働性」の2つの側面があると思います。

「共有性」とは、情報が整理整頓されていて、確認や閲覧がしやすいかどうかです。共有性が優れている製品では、情報が項目ごとに並んでいて、自分に必要なものが探しやすくなります。例えるなら、ジャンルごとに分類されている本棚のような状態ですね。

一方、「協働性」は、情報を複数のメンバーが共同で編集したり加工したりしやすいかどうかです。ビジネスでは複数のメンバーが手分けして作業を進めることが頻繁にあります。特にリモートワーク環境下においては、共同作業が行いにくく、生産性が下がりやすくなってしまいます。

「共有性」のポイントは「備え付けの『本棚』を使うか、自社で『本棚』を作成するか」

共有性を重視している製品には2つの機能が備わっています。それは、「ポータル機能」と「タスクマネージメント機能」です。

「ポータル機能」とはつまり、「総合窓口」のように、1つの画面に必要な項目の一覧をまとめておける機能です。具体的に言うと、「スケジュールカレンダー」「メール」「掲示板」など、業務で使う複数の機能が1ページにまとめて表示されます。そこからそれぞれの機能にすぐにアクセスが可能です。

「タスクマネージメント機能」は、スタッフの誰がどのような順序で作業を進めていく中で、業務の割り振りや進捗状況、タスクを共有して管理する機能のことです。複数のメンバーで順番にこなしていく業務は多いですよね。その場合に、誰がどこまでやるのかが明確になっていれば、業務の引き継ぎがしやすくなります。

先ほど「共有性」を本棚にたとえましたが、さらに細かく分類すると、「棚が固定されていて何を入れるかが決まっている本棚」と、「棚を自分で動かし自由に区分けができる本棚」があります。つまり、「スケジュールカレンダー」「掲示板」「メール」などのツールの表示方式があらかじめ決められている製品と、自由に設定できる製品があるのです。

――それぞれどのような場合に重視したらよいのでしょうか?

会社全体で利用するなら棚が固定式タイプが向いています。組織全体で使われることを想定し汎用的に作られているので、部署や職種が異なる場合でもスムーズに運用できるでしょう。

部署やプロジェクト単位で利用するなら、細かいニーズに合わせて棚を付け替えできる可動式タイプがおすすめです。例えば、カスタマーセンターのような部門で使うなら、「電話の履歴を残したい」という他の部門にはないニーズがありますよね。そういった場合には、自由に棚を構築できた方が使い勝手がよくなります。

「共有性」と「協働性」どちらもカバーできる製品はほとんどない

――なるほど。グループウェアは共有性と協働性を重視して選べばよいのですね。

企業活動ではもちろん「共有性」「協働性」どちらも大切ですが、この両方を完全にカバーできる製品はほぼありません。ですから、共有性に優れた製品、協働性に優れた製品をそれぞれ把握しておいて、必要に応じて導入するのがおすすめです。

人気グループウェアを「共有性」と「協働性」の観点で比較

では、実際に共有性に優れた製品と、協働性に優れた製品にはそれぞれどのようなものがあるのでしょうか。ここでは中村さんのアドバイスをもとに具体的な製品を紹介します。

【製品比較表】(編集部調べ)

サイボウズ OfficeGaroonkintonedesknet’s NEOGoogle WorkspaceMicrosoft 365
比較軸共有性重視共有性重視共有性重視共有性重視協働性重視協働性重視
提供形態オンプレミス/クラウドオンプレミス/クラウドオンプレミス/クラウドクラウドクラウドクラウド
料金
(クラウド)
月額550円~月額930円~月額440円~月額858円~月額748円~月額715円~
※料金は全て税込

固定式本棚タイプ:「サイボウズOffice」「Garoon」「desknet’s NEO」

――固定式本棚タイプの製品について詳しく教えてください。

主要な製品でいえば、「サイボウズOffice」「Garoon」「desknet’s NEO」ですね。 

これらの製品には「ポータル機能」「スケジュールカレンダー」「掲示板」「ワークフロー」「ファイル管理」「メッセージ」など、どの業務でも必要な機能がほぼすべて含まれているので、業種を問わず活用できます。

また、3製品ともパッケージ版(オンプレミス版)もリリースされているため、社内ネットワークで完結させたい場合にも対応可能です。

【製品基本情報】(編集部調べ)

サイボウズofficeGaroondesknet’s NEO
提供形態オンプレミス/クラウドオンプレミス/クラウドオンプレミス/クラウド
ユーザー数数人~300人(推奨)数十人~5000人以上(推奨)5人~数千人
初期費用なしなしなし
クラウド版
利用料金
契約期間1カ月~
1ユーザーあたり月額:550円~年額:6468円~
契約期間1カ月~1ユーザーあたり月額:930円~年額:1万929円~ユーザー数に応じてディスカウントあり契約期間1カ月~1ユーザーあたり月額:440円~年額:5280円~
対応言語日本語日本語・中国語・英語日本語・英語
運営会社サイボウズサイボウズネオジャパン
※料金は全て税込

サイボウズOffice

サイボウズofficeキャプチャ
出典:「サイボウズOffice」公式サイト https://office.cybozu.co.jp/
サイボウズOffice
公式サイト https://office.cybozu.co.jp/
運営会社 サイボウズ株式会社

Garoon

Garoonキャプチャ
出典:「Garoon」公式サイト https://garoon.cybozu.co.jp/
Garoon
公式サイト https://garoon.cybozu.co.jp/
運営会社 サイボウズ株式会社

desknet’s NEO

desknet's NEOキャプチャ
出典:desknet’s NEO https://www.desknets.com/
desknet’s NEO
公式サイト https://www.desknets.com/
運営会社 株式会社ネオジャパン

――「サイボウズOffice」「Garoon」「desknet’s NEO」、それぞれの違いはどんな点でしょうか?

実は、サイボウズOfficeとdesknet’s NEOには、固定式本棚タイプとしての機能的な差はほとんどありません。もちろん細かい部分では異なりますが、利用者目線で気になるほどではないでしょう。どちらも30日間の無料トライアルが用意されているので、まずは使用感を確かめてみるのがおすすめです。

一方、サイボウズOfficeとGaroonは、想定されている利用規模が異なります。サイボウズOfficeは300人未満、Garoonは300人以上を想定して作られています。というのも、サイボウズOfficeは、中小企業を想定した機能のシンプルさを重視しているのに対し、Garoonは外部サービスから情報の取り込み機能を重視しているからです。

「外部からデータを取り込みたい」というニーズは、企業規模が大きくなってくると増えてくるので、それに合わせて想定人数が設定されています。もちろん、300人未満の企業だからGaroonが使えないというわけではありません。 

好みの「本棚」を作成できる:「kintone」

――では、可動式本棚タイプの製品には何がありますか?

代表的な製品はサイボウズの「kintone(キントーン)」ですね。kintoneは、業種や業務形態に合わせて好きなように“本棚”をカスタマイズできます。業務に必要な機能だけに絞って本棚を設定すれば「使わない棚が多すぎて読みたい本が探せない」、つまり、「使いたい機能がどこにあるのかわからない」といったことがなくなります。ネオジャパンは、desknet’s NEO の中にオプションとしてAppSuiteという製品があります。

kintone

出典:「kintone」公式サイト https://kintone.cybozu.co.jp/
kintone
公式サイト https://kintone.cybozu.co.jp/
運営会社 サイボウズ株式会社

【製品基本情報】(編集部調べ)

提供形態クラウド
ユーザー数5人~10万人
初期費用なし
利用料金1ユーザーあたり月額:858円~ 年額:1万87円~
対応言語日本語・中国語・英語
運営会社サイボウズ
※料金は全て税込

――具体的にどのようなカスタマイズができますか?

例えば、営業・セールスチームなら「顧客情報」「案件管理」「見積もり作成」「申請業務」など、営業で利用する機能(アプリ)を一覧で表示されるよう設定が可能です。総務・人事部署なら、「社員名簿」「社内FAQ」「採用管理」「申請業務」といった組み合わせにできます。

協働性」を重視するなら「Google Workspace」「Microsoft 365」

――では、もう1つの軸「協働性」が優れている製品を教えていただけますか?

代表的な製品は、「Google Workspace(旧G Suite)」「Microsoft 365(旧Office 365)」ですね。すでに導入している企業も多いと思います。

【製品基本情報】(編集部調べ)

Google WorkspaceMicrosoft 365
提供形態クラウドクラウド
運営会社Googleマイクロソフト
初期費用なしなし
利用料金月額:748円~月額:715円~
対応言語日・英など多数日・英など多数
※料金は全て税込

Google Workspace

出典:「Google Workspace」公式サイト https://workspace.google.co.jp/intl/ja/
Google Workspace
公式サイト https://workspace.google.co.jp/intl/ja/
運営会社 Google

Microsoft Excel

出典:「Microsoft 365」公式サイト https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365

Google Workspaceの基本機能である、「Googleドキュメント」「Googleスプレッドシート」「Googleドライブ」は、 複数人が共同で同時に作業できます。Microsoft 365の「Microsoft Word」「Microsoft Excel」「OneDrive」などの機能も同様です。

ただし、協働性に優れたグループウェアは、情報の蓄積や整理整頓が得意ではありません

作業から時間があいてしまい、ファイルの置き場所がわからなくなってしまった経験はありませんか? Google WorkspaceやMicrosoft 365は、情報を探し出しにくい製品だといえます。

例えば、Googleスプレッドシートでは、最新のファイルが積み上げられていき、保存場所も変わっていくため、必要な情報がドライブ上のどこに保存されているのかわからなくなってしまうことがあります。

このように、協働性には優れていている製品は、情報の共有性に劣るものが目立ちます

グループウェアを導入するメリット

グループウェアを利用すると、具体的にどのようなことが実現できるのでしょうか? 導入のメリットについて中村さんに伺いました。

情報共有のプラットフォームを構築できる

――グループウェアを導入するメリットを教えてください。

グループウェアのメリットは、複数のメンバーで情報共有するためのデジタルな「場」を構築できることです。私は、グループウェアは情報共有の「プラットフォーム」、例えるなら「ホワイトボード」のようなものだと考えています。もちろん、事務所というリアルな空間でも情報共有はできますが、グループウェアがあると、「リアル」と「デジタル」の両方で情報共有が行えるのです。

組織の目的を素早く達成することができる

――グループウェアを利用することで、具体的にどのような成果が期待できますか?

目標達成までのスピードが上がります。企業が目的を達成するためには、3つのチームワーク欠かせないと私は考えています。

1つ目は、理想や目的がメンバー間で「共有」されている状態。2つ目は、理想や目的を目指すための「役割分担」がされている状態。3つ目は、理想や目的に向かって「協働作業」ができている状態です。この3つのチームワークを高め、業務を効率化し、目標達成までのスピードを速められるのがグループウェアなのです。

グループウェアの導入を成功させるためのポイント

グループウェアの導入に失敗したくない」「導入してもうまく使いこなせるか心配」など、不安に思っている方も多いでしょう。

ここからは、グループウェアの導入を成功させるためのポイントについて中村さんに解説していただきます。

組織のトップがグループウェアを積極的に利用する

――グループウェアの導入と運用のポイントについて教えてください。

グループウェアの導入を成功させるには、いち早く社員に浸透させることが大切です。

そのためには、まず組織のトップが率先して利用することが効果的です。

例えば、組織のトップが、カレンダー機能にその日の仕事や会食の予定を公開すると、従業員は「役員の空いてる時間に予定を入れて相談しよう」と、グループウェアを利用してみようと思えます。特に、中小企業では経営者が動かない限り、現場に浸透することはありません。「組織のトップが先頭を切って使い始める」、これがグループウェアの導入を成功させるための最も大切なポイントといえます。

グループウェアを導入する目的とメリットを従業員に説明する

また、何のためにグループウェアを導入するのかを従業員が理解していることが大切です。

ただし、導入する目的を共有するだけでは不十分です。「情報共有ができればお互いに業務のフォローができるので、急病になっても安心して休める」「メンバーの作業量に偏りがあった場合にフォローがしやすくなる」など、従業員にとってどのようなメリットがあるのかについてもしっかりと伝えることが大切す。

最初のうちは、自分のスケジュールなどを共有するのに抵抗を感じるメンバーがいるかもしれませんが、導入の目的とメリットを理解してもらえれば、積極的に利用してもらえるはずです。

情報管理者と利用者のリテラシーを認識しておく

――従業員がグループウェアを使いこなせるか不安に感じている場合は、どうしたらよいでしょうか?

ITツールに関するリテラシー不足には、2通りの意味合いがあります。1つは情報管理担当者のリテラシーに関する問題。もう1つは、利用者のリテラシーに関する問題す。まずは、どちらのケースに当てはまるのか整理することが大切です。

情報管理担当者とは、グループウェアのアカウントやアクセス権限の管理を行う人のことです。グループウェアは情報共有をするためのツールですが、特定のプロジェクトに関する情報などは、関係者にだけ閲覧できるように適切に管理しなくてはいけません。情報管理担当者として、運用に不安や疑問点があるなら、カスターサポートに相談するとよいでしょう。

利用者のリテラシーの問題とは、つまり、グループウェアの機能を従業員が使いこなせないということです。こうした場合には、マニュアルを作成したり、勉強会や研修会を実施したりすることで解消できるでしょう。

「クラウド型」「オンプレミス型」どちらの製品を選ぶべきか

最近では、グループウェアも大半がインターネットを経由して利用するクラウド型としてリリースされています。クラウド型のメリットとしては、導入の初期費用を抑えられる、導入までにかかる期間が短い、などの点があげられます。

しかし、企業の形態や業種によっては、必ずしもクラウド型がベストな選択になるとは限りません。ここでは「クラウド型」と「オンプレミス型(インストール型)」、それぞれどのような企業に向いているのか中村さんにアドバイスしていただきました。

「水平分業型」の組織なら「クラウド型」

――「クラウド型」はどのような企業にあっていますか?

 組織のあり方を「垂直統合型」と「水平分業型」に分けた場合、水平分業型の企業ならクラウド型が向いているでしょう。

 水平分業型というのは、自社製品の核となる部分は内製し、それ以外は外部のパートナーに任せるといった業態です。企画・販売は自社で行い、設計・開発は他社に委託する、などのケースも含まれます。

――水平分業型の組織にはなぜクラウド型が向いているのでしょうか?

クラウド型は、自社の変化に合わせて柔軟に契約内容を更新できるからです。水平分業型の場合、市場の変化に合わせてプロジェクト内容が変更になったり、チームを再編したりする必要が出ていきます。クラウド型だと、月単位でユーザー数やプランの変更ができるので、無駄なコストがかかりません。

また、クラウド型の場合、機能のアップデートやシステムのメンテナンスは、運営会社が行ってくれます。そのため、企業はリソースをコア事業に集中できるのです。

 「垂直統合型」の組織なら「オンプレミス型」

――なぜ垂直統合型の組織にはオンプレミス型が向いているのでしょうか?

「情報のコントロール」という点ではオンプレミス型の方が優れているからです。

ここで言う「垂直統合型」とは、製品の開発から製造販売までのプロセス全てを自社で行うビジネスモデルを指しています。多くの人員が関わる大規模な組織は「垂直統合型」で運営してきたケースが多いでしょう。

垂直統合型を採用している企業の場合、多くが社内独自のノウハウを蓄積しています。このノウハウは社外に漏れないよう適切に管理しなければなりません。オンプレミス型ならインターネットを経由せずに社内で完結できるため、情報の機密性を維持しやすいのです。

また、インターネット回線をベストな状態に保ちやすいのもオンプレミス型のメリットです。クラウド型は運営会社のインターネット回線が混雑すると、製品にアクセスしにくくなり、作業に支障をきたす場合があります。その点、オンプレミス型は、自社のインターネット回線を利用するため、アクセス集中などによるトラブルが起きづらくなります。大規模な情報共有を社内で行うのであれば、オンプレミス型がおすすめです。

ただし、垂直統合型でさえも、組織の柔軟性が重要になり、自社だけで情報を完結する時代ではないため、オンプレミスの需要は減ってきています。

まとめ

グループウェアは情報共有に役立つツールです。情報共有が円滑にできれば、業務がスムーズに進み、目標も達成しやすくなります。製品の比較では、「共有性」と「協働性」の視点から製品を比較し、自社にあったものを選びましょう。

多くの製品では無料トライアル期間が設けられています。迷った場合は試しに利用してみるとよいでしょう。

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